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「ミヅキが今までに見たことないような感じになってる……」
企画書の3ページ目を見て固まる私を見て日高さんが一言。
「百面相してるね」
……固まってはいなかったらしい。
稲葉さんの名前が強烈すぎるが、他のゲスト候補者だって錚々たるメンバーだ。日高さん、いやSpotifyさんか?本当にこの人達を呼ぶつもりなのかな。
「ニヤニヤしちゃってまあ……」
「、えっ、ニヤってました?」
「うん。嬉しい?」
「うれし、……めっちゃ緊張しますけど、嬉しいです。……でもなんで私?」
BE:FIRST全員で、とかではなく私だけ?
首を傾げたら、日高さんが「ふふふっ」と含み笑いをする。
「Spotifyの企画部にいる知り合いにね」
(企画部に知り合い?!)
「ミヅキが最近ギターを始めたことを話したのよ」
(何故?!)
「そしたら話に花が咲いちゃってさ、こんな企画になりました」
「っ、…………めっちゃ端折られた気ぃします!」
信じられへんくらい掻い摘んだ説明を受けて、思わず大きな声が出た。目の前で子供のようにケラケラ笑う日高さん。
「はははっ、ふふっ……
どうかなミヅキ。この仕事、受ける?」
一瞬前までお腹を抱えて笑っていたのに、不意に真剣な目をして問いかけてくる。そりゃあ、勿論答えは決まってるよ。
「やります。やらせて欲しいです」
「僕が手を回しておいてなんだけど、目玉企画の方、結構大変だよ」
「……でも日高さんが出来ると思ったから、こうやって話を持ってきてくれたんですよね?」
「、ふふっ。そう。実はこの前の『宿命』ね。あれ聞いたときにもう俺は決めてた」
そう遠くないうちにモノにさせて、世に出そうってさ。と目を半月にする。
ああ彼からのその信頼は、ほんとうに嬉しい。
「そういや俺、ミヅキのギター聞いたことない」
「僕も。いっつもコソ練してる」
ジュノンくんがふと呟いたことに、リュウヘイが同調する。実は2人どころかここにいる誰にもまだ、ちゃんと聞かせた事はないんだよね。
「…………」
「……日高さんのやつ、取り上げられると思ってんの?」
舜斗の問いかけに目が泳ぐ。
「だって、私には大きいって言うんだもん……」
初めて事務所で日高さんのギターを触らせてもらったとき、私は(しっくり来るなぁ)と思ったのに みんなの反応は違った。
『はじめるなら自分の体にあったやつを』『もっと初心者向けの扱いやすいやつを』って口々に言われて、そこからみんなの前であれを弾くのはなんとなく躊躇ってしまっていた。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時