10-1 新しい仕事 ページ6
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夜。外での仕事を終えた日高さんがスタジオに現れた。
昨日例の返事をしたあとだから構えていたけど、「やあやあやあ!みんな元気?」と入ってきた声はいつもの日高さんで、
だから結構油断していたのだ。
みんなの輪から外れたところで、ふと手招きされた先に寄っていけば
「先方にお会いするのは来週になったよ」
「は、はやっ」
「えっ……早いかな?もう一週後の方がいい?」
「や、すみません。そうやなくて……昨日の今日だったので、」
「…………僕、仕事早いからね」
そうでした。
大真面目に言ってそうな日高さんに、笑えば良かったのか分からなくて微妙な顔になる。
「それからもう一個あってね。ミヅキに新しい仕事持ってきちゃったんだけど」
「、雑誌の取材?」
「いや。PodcastのレギュラーDJ」
「レギュラー、DJ…………???」
ほとんど何の前触れもなく放たれた、想像していたより数倍大きそうな言葉に、声を詰まらせる。
「本当はもうちょっと落ち着いたところで話したいと思ってたんだけどね、なんせ早く知らせた方がいいから。こんな所でバタバタと申し訳ない。企画書あるけど見る?」
「……み、見るぅ……」
「はははっ。よしよしちょっと待ってね」
5分、……いや10分だけ時間もらっていいかな?ごめんね。と、スタジオの中にいる人たちに声をかけた日高さんが、帯同していたマネージャーさんの方へ歩いて行く。
「ミヅキ、そこ座っておいで」
「あ、はい」
その仕草で、日高さんは私に用事があってリハの休憩を伸ばしたのだと分かると、なんだなんだとメンバーがこちらを気にかけ始める。
(どうした?)
という舜斗のアイコンタクト。私だってよく分かってなくて首を傾げたら、スタジオの床に座り込んでいた腰を上げてこちらに歩いてきた。
「なに、大丈夫?」
「うん。なんか凄い話が始まりそう」
「ん?」
舜斗は心配してくれたのか神妙な面持ちだったのだが、私の返答にポカンとした。その空気を拾って、舜斗に続くように集まってくるみんな。
その中に紛れて日高さんもやってきた。
「あらあらみんなで見るの?」
「みんな見たいみたいです」
「じゃあ僕はこっちに座らせてもらうよ」
テーブルを挟んで向かい側に日高さんが腰を下ろすと、私の隣をすかさず確保するリュウヘイ。反対隣には興味津々といったご様子でソウタくんが座った。
他のみんなは背後に構えている。圧がすごいよ。
「はいこれ、企画書。こっちがサンプルね」
そういって、日高さんは2つのA4ファイルをこちらに差し出した。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時