ミュージックアワー2【BE:FIRST】

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addictive Artのフルパフォーマンスを久々に見て、何とも言えない気持ちになる。この頃の語彙を今思いつけって言われても、きっと出来ないんだろうな。

舜斗もリュウヘイも制作には 怖いくらいにのめり込むタイプだ。歌詞に一切の抜きがなくて、コレオも難しい。
我ながらよくやったなぁと思うパフォーマンスは、日高さんもこれがお気に入りらしい。




「この子達天才だよね、ミヅキ知ってる？96Blackっていうんだけど」




そんな冗談で私を笑わせながら、ご機嫌にパフォーマンスを見ている。


そして……




「わたしこの時、すごく祝福されてるように思ったんです」




Shining Oneのパフォーマンスステージ。
サビ後半で起こるスポットライトの乱舞は、同じものは何一つなく輝き合う個性が この楽曲で美しく噛み合って増すことを祝福している。

そんな考えを口にすれば、日高さんは嬉しそうに目を細めた。




「ミヅキの感性は、本当に……素晴らしいね」

「ふふっ、正解でした？」

「さあー？どうでしょう……」




Shining Oneのステージが終わって、メンバー発表が始まり、問題の『最後に名前を呼ばせてもらうのは、レオにしたいと思わせてくれました』という日高さんの発言に笑った後。


名前を呼ばれて前に出てくる私。
その顔に絶望感が浮かんでると分かるのは、きっとこの時の気持ちを知る私しかいないんだろうなぁ。




『ようこそBE:FIRSTへ。8人目のメンバーはミヅキ、あなたです』



「あー、やばい。泣く」

「ええっ、あっ、ティッシュ……」

「や、大丈夫です。耐えた」

「たえた…？」

「？……耐えたって言いません？」

「言わないね。関西弁だと思うよそれ」

「……ああ、そうかもです」




目頭を押さえながら、パーカーを受け取る自分を尻目にそんな関係のないことを話す。だけどもいつしか自分の意識は、画面の中に映る日高さんの言葉から離せなくなって。




『計り知れない孤独を知り 痛みを抱え、
　屈することなく感情を煌めかせ、
　強く地面を踏んでここに立つ貴女は、

　やはりとても美しい。


　その美しさにこの先多くの人が勇気をもらい、夢を抱くでしょう。
　貴女はきっと想像を超える力で、
　大いなる未来へ向けて 進み続けて行く……』





日高さんは愛に溢れた人だ。
私に限らずこのオーディションに参加した人たちは、彼の愛に何度も救われてきた。

ただ彼こそ、音楽がなければ出会うはずのなかった人。
彼が私を特別大事に思ってくれるのは、その前提に 彼が求める才能を私が持っているからだ。



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