ミュージックアワー2【BE:FIRST】

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真夜中、ボーッと襲ってくる眠気に身を委ねていたら、瞼の向こうでスマホの画面が明るくなるのを感じた。何だよこんな時間に……と片目だけ開けると、ボヤけた視界の中にLINEの通知バーが見えて。




“起きてる？”




それは最初、仲の良い地元の友達からのもんだと思った。だが よくよく見てみると、メッセージを送ってきたのはAで。


慌ててスマホを拾い上げる。顔の真正面に画面を持ってきても、部屋が暗いからうまく顔認証がされない。




「チッ、」




焦る気持ちが出てしまったことにハッとして、頭を落ち着かせながら暗証番号でロックを解除する。
通知が数件溜まったLINEのアイコンをタップして、トークの一覧を表示した。




「……？」




一覧の上に、あると思ったはずのAの名前がない。
その代わりにあるのは、ソウタくんからの“やばい多色のキッドでた！”というメッセージ。……それはそれでエグい。


見間違えだったのかと思って、少しスクロールしたところにあるAとのトークラインを開いた。





“ 踊家Aがメッセージの送信を取り消しました。 ”




目に飛び込んできた文言に小さく「はっ」という声が漏れる。隣のベッドにリュウヘイがいるから、そこは何とか抑えたけど……何だコイツ。



一旦体を起こそうと 肘をついたところでふと考える。

今このまま向こうの部屋に突撃してって、俺はどうする？『取り消したメッセージ何だったの？』って平常心で聞けるか？俺。

そもそも万が一、これが本当に俺の勘違いで
Aがたまたまちょっと前にメッセージを取り消していただけだとしたら……。

その場合、熟睡しているだろう あいつの可愛い寝顔だけ見て、また戻ってくるの？何の生殺し？


って、違う。Aがわざわざメッセージを取り消したんだとしたら、それはそれで理由があって……無理やり聞き出す場面なのかはまだ分かんねぇ……とか、そんなのはくだらない言い訳。




「っ、……むりだぁ……」




日高さんに目で訴えて、半ば無理やり共同生活にさせてもらった弊害がここに来て出てきた。最近日に日にAの部屋はいい匂いになって来てるし、踏み入れんのに覚悟がいる。

本音を言うと、まじで何もしないで戻ってくんのが辛すぎてやだわ。




「はぁ……」




情けなくて頭を抱える。
ただ、こればっかりはどうしようもなく俺も男だった。



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