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その後のことは、ただ淡々と過ぎていった。
日高さんは私の決心を汲み取ったのか、最初の頃とは打って変わって 無理に空気を取り繕うこともしなくなった。
来たときと同様に、モモヨさんに促されて彼が出ていく。最後に何か私に語りかける彼の目も見ることなく、深々と会釈をした。
(ああ、どうか)
どうか、もう2度と
貴方が私の前に現れませんように。
「大丈夫ですよ、日高さん。ほんまに大丈夫」
普段からよく話す彼が、ただ何も言わずに私を正面から抱きしめる。
この場が開かれる前にされた抱擁とはまた違う。
まるで私の痛みを自分に吸い取ろうとするが如く、固くて。
「…………ただミヅキが大切だと言いたい」
「……うん」
「……」
「……」
「…………やっぱり1発蹴り入れて来てもいいかな」
「えー、どうして……」
「宝物を雑に扱われたら、誰だってムカつくでしょう？」
「……雑に扱ったつもりは無いんじゃないですか？」
「雑じゃなければ良いんじゃなくて、尊んで欲しいの」
「………………うーん、」
何も言わずに、はやっぱり前言撤回。
ちょっと子供が不貞腐れたみたいにブツブツ言っている。
日高さんの手がスルスルって頭の方まで上がってきて、後頭部に当てて一層強くギュッとされた。
く、苦しいなぁ……
「……日高さん」
「……」
「ちょっと、苦しい、です」
「……ごめん、」
小さく謝って、日高さんの身体は離れる。
……と思ったら、私の頬を両手で包んで、至近距離で両目を覗き込んできた。
「……？」
「…………」
ジッと片方ずつの目を見ている。
何かなと首を傾げた私に彼は言う。
「……決めているんだね」
そうやって小さく笑った顔が、思い違いかなと思えるほど僅かに苦く歪んだ。
どういう意味か分からず「えっ？」と聞いた私の頭を彼はただ、労るように撫でてくれた。
＊
中目黒の路地に立つ。
「1人で歩きたい」と言ったら、日高さんとモモヨさんは心配そうな顔をしたけど、止めることは無かった。
時計を見れば次の予定まで3時間ほど。
彼はもう起きているかな。
少し不安混じりでスマホを付けた。
“ 会いたい ”
ただそれだけを送る。
数秒トーク画面を見つめれば直ぐについた既読の字。
“ どこにいる？迎えに行く ”
彼の柔らかい声で再生されるその文字は
凍てついた心に吹く温かい風のようだ。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています！！ (11月27日 20時) (
レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました！たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました！天才っ！！ (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね！リルアワとのリンクも楽しんでいただければ！ (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白 | 作成日時：2023年4月7日 23時
