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(まあでも、逃してやる気もハナから無いというか)
ミヅキの家まではあと10分くらいかな。
静かな街に、2人の足音と息遣いだけが微かに聞こえる。
提示した逃げ道を自ら塞ぐように、俺は無言を貫いて
ただただ、ミヅキが話し出すのを待っていた。
ミヅキは俺と合った視線をまたすぐに前に戻して、「んー」と観念したような声を漏らした。
「ほな、解決策は要らんから」
「うん」
「今から言うとこずっと共感してて欲しい」
「わかった」
「…………何言うかわからんのに、分かったん？」
自分で言い出したくせに、二つ返事をした俺に呆れたような笑い。
なんだよ、俺にどうして欲しいんだよ。
少しだけ面倒くさいと思う心に相反するように、急かす俺の口はミヅキの求める言葉を吐いていた気がする。
「後悔はさせんけん。話してみな」
「んんー、…………うん」
足元に見つけた小石をポンッと蹴る。
ミヅキの爪先から転がって、街路樹の下に消えていくのを2人して目で追った。
「…………お父さんから連絡来てんやんか」
「、え、……ミヅキの、お父さん？」
「そう。事務所に連絡来たらしくて、向こうが私に会いたがってるって言われてさぁ……来週会うんよ」
思いもよらなかった話の始まり。
“後悔させない”なんて、無責任にも程があるな。
「死んだ人だと思ってたから結構びっくりして、実感全然無いのね、今」
「でも日高さんは、真面目に向き合って欲しそうにしてるし」
「折角再会する“家族”なのに、会ったところで話す事なんてないよ。って思っちゃう自分は随分冷たいんじゃ無いかって」
後ろめたいの、ずっと。
って、情けなく掠れた声。
それが何だか震えているように聞こえて、焦りと共に少し顔を覗き込む。
驚いたミヅキの目は見開いて、でもすぐにキュッと弧を描く。
「なに？泣いてないよ？」
「……ミヅキが泣いてて、ビビってると思ったの？俺が」
「だってそうでしょ。そんな心配そうな顔」
苦しい話をしているはずなのに、
気持ちに嘘をつくように俺を茶化してくる。
そうだ素直に泣けるような話なら、1人になりたくなるほど思い悩んだりしないよな。
“共感”と言うには違うけど。誰にも言えない思いにただ、心が蝕まれるような 地獄じみた感覚は 俺にも少しだけわかる。
(……ミヅキを想ったら、勝手に体が動くんだよ)
無責任にも、踏み入れてしまった。
解決策は要らないと言うミヅキに、俺は。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています！！ (11月27日 20時) (
レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました！たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました！天才っ！！ (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね！リルアワとのリンクも楽しんでいただければ！ (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白 | 作成日時：2023年4月7日 23時
