12-1 “M”idnight down ページ16
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俺は今
甘くて幸せな地獄の中にいる。
side M
好きな子がこんなに近くにいるのに
少しもアプローチが出来ないなんて結構クるもんだな。と、ここ数ヶ月で心からそう思った。
オーディション中はまだ良かったんだ。
お互いに未来がどうなるか分からない状況で、俺の生活の中心に彼女はまだいなかった。
BE:FIRSTのメンバーに決まって、寝ても覚めても8人がお互いの時間の大半を占めている。
そんな中で俺の気持ちは紛れていくどころか、歯止めも効かずに膨らんでいく。
もう ミヅキが幸せなだけで嬉しいとか綺麗事は言えないし、
思いが実らないならせめて笑ってそこに居て欲しいとか、そんな風に思えるほど大人じゃ無いんだと。
俺は今痛感している。
「へへっ、がおーっ」
「ちょ、っ、なに!」
“メンバーにならまだしも”なんて、我ながらこんな女々しい比較をしている事に少し驚いてる。
ショウタくんを見た瞬間から目に見えてご機嫌なミヅキは、この数時間1ミリも彼から離れようとしない。
(近すぎ)
「……さっきからショウタくんと近いよ」
(もっと俺に触ってよ)
「俺の方に来て……」
馬鹿みたいに思ったこと全部が口に出る。だからお酒は嫌だね。20歳になった日に飲んだ酒も、俺はミヤビん家の客間でずっとソウタくんに『ミヅキ可愛い、まじ可愛い』って言い続けてた。……酒を言い訳にタガが簡単に外れてる感じが、最高にダサくて嫌だ。
早くこのアルコールに身体が慣れてくれないかな。
そんくらい大人になりたい。
せめて、こいつが酒を覚える歳になるまでに。
じゃないとこのまま取り返しの付かない間違いを犯 してしまいそう。
「マナティ、ミヅキ帰るって」
「え、あ、そう?」
深夜2時を過ぎた頃。
トイレからリビングに帰ってくれば、ショウタくんの言葉にミヅキがこちらを振り返って頷いた。
ちなみにソウタくんは側で既に潰れている。
「帰って帰阪の準備しなきゃ」
「じゃあタクシー呼ぼうか」
「ううん、歩いて帰る」
「……はーいー?」
思わず片眉上げた俺に、ショウタくんは呆れた顔をミヅキに向けた。どうやら俺が来る前に同じ件を2人でしていたようだ。
思わずため息をつく。
「ダメだよ危ないから」
「この時間なら不審者もおらんて」
「いるよ。港区舐めんな」
「歩いて30分かからんし、タクシー待つ時間が勿体ない」
「……ねー、どうして言うこと聞かないの」
ミヅキのこういう頑固なところ、本当にうんざりする。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時