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“破壊力”とか言われると、頭に日高さんの声で私に「怪物ちゃん」と呼びかける光景が思い浮かぶ。
「……がおーっ」
「ちょ、っ、なに!」
ショウタくんの顔のすぐ前に、爪を立てるようにした手を持ってくる。視界が遮られて、わざとらしく鬱陶しそうな仕草がなんか可愛くて。
「破壊力とか言うからやん?」
「そう意味じゃないでしょ!」
いちいちオーバーにリアクションしてくれるのも良い。
「おい、いいなぁ!俺にそんなことしたことねーじゃん!」
据わった目のソウタくんが指をさす。
だって ソウタくんとかは、こんな愉快に私のだる絡みを受け入れてはくれなそう。
「ソウタくんはなんかちゃう」
「あっ?!」
「ははっ、なんか違うって!」
言った後にやばいと思った。
お酒が回った彼は、いつもよりもっと感情がむき出しで。表情だけでムキになっているのが分かる。
矛先は何故かショウタくんとマナトくんに向かって、「お前ら2人飲めよ」って嘘みたいに面倒くさくなった。
「……ごめん……」
「いや、ははっ、いいよ」
結局手元で開いていた缶の中身全てを仰いだマナトくんはまだ余裕そうな笑顔だった。
私が話しかけると それが急に真顔に近くなって、ジッとこちらを見つめてくる。
「俺も違うの?」
「え?」
「ショウタくんみたいには懐いてくれない?」
急に。
マナトくんのその雰囲気はびっくりする。
柔らかい声で訊ねるのに、どこか何かを求めるような。
視線から何から固まってしまった私に、「ははっ、冗談だってば」って雰囲気が元通りになって、ドキドキしながらもホッとした。
「視線とか、気を付けてよ、女ったらし」
「ははっ。……その言葉そっくり返そうか?」
目を細めてガンつけてるみたいな、でも全然怖くないの。そんなマナトくんは、くすくす笑いながら そっと耳元に口を寄せてきて囁く。
「……さっきからショウタくんと近いよ。
俺の方に来て……」
「っ、だからぁ……!」
「今度は本気。おいでミヅキちゃん」
「やだーっ、ショウタくん!マナトくんがえっち!」
「マナトは元から結構えっちだよ」
「その言い方イヤだな」
白けた目のショウタくんにマナトくんは苦笑い。
その隙に私は立ち上がって、ソウタくんの横に避難した。今のマナトくんは危険だと 頭の中で警鐘が鳴っている。
「Bruno見ろよ!」とソウタくんが吼える。そんなこと言ったって、貴方の相方がいきなり集中させなくしたんだよ。
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匿名感想
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時