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ショウタくんを見る事自体が久しぶりな気がして、マナトくんのマンションの下で待つ彼を見た瞬間に、勢い余って飛びついてしまった。
「ちょっ、ミヅキッ……!」
「久しぶりーっ!」
「元気すぎっ!えっ、君たちちゃんとリハしてきたんだよね?!」
「してきたわ」
「ミヅキはショウタくんが好きだねー、」
「んふふっ、しょーたくん、Gifted.のMV見た?」
「まだ見てないよッ」
「はよ見てー、ほんまに凄いからーっ」
そして早くショウタくんの感想が聞きたい。
彼ならきっと、あの映像を見てゾクゾクしてくれるはず。それを余す事なく言葉と身振りで私に伝えてくれるはず……!
と、後ろから肩を掴まれて力強く引かれる感覚。抗えなくてトントンっと後ろに2歩下がり、ショウタくんから体が離れてしまった。
「引っ付きすぎでーす」
細い目でソウタくんの低い声がする。
ああ、確かに。
「ごめんショウタくん、会えたの嬉しくて抱きついちゃった」
「いいのよ俺は。でもここ外だからね」
「お家の中だったらずっとくっ付いてていいん?」
え、そういう事やんね?
とマナトくんを見たら、彼の表情はピシッと固まっていた。
「「「……………」」」
「……キミたちミヅキにどういう教育してるの?」
「俺らか?」
「ミヅキ、それ天然で言ってるの?」
「、ふふっ、だってそう言う事やん。お家はいろー」
マンションのオートロックの前に立って、マナトくんに早く早くと手招きする。「良いのか?このまま入れて」とソウタくんが呟いた。
そんなあからさまに戸惑うと思わなかった。
流石に冗談なんだよなぁ。
通してもらった部屋の角にあるテレビ台の隣に、見覚えのある緑のぬいぐるみ。彼のお誕生日に買ったヨッシーだ。
「ねえ、これ……!」
「うん。ミヅキからもらったやつだよ」
「飾ってくれてるん?!」
観葉植物と並ぶように置いてあって、シックにまとめられた部屋の中でここだけ色が浮かんで見える。
「こういうの初めてだからめっちゃ緊張したんだよね……飾ってくれて嬉しい……」
「、」
「あらあらマナティ、“ハジメテ”だってー」
「……ははっ」
ショウタくんはソウタくんと共に今まで何回かマナトくんの家に来たことがあるみたいで、勝手知ったるようにキッチンに入って冷蔵庫を開けた。
「ビールでいいのかなー?あなた達ー」
「うーい」
心の底から楽しそうな顔で、冷蔵庫から缶のお酒を取り出してくるショウタくん。
え、ねえ、Bruno Marsの鑑賞会であってるんだよね?
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時