ミュージックアワー2【BE:FIRST】

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22時頃になってレオくんが「今日はそろそろ上ろうか」と、汗を拭きながら声をかけた。




「ミヅキはまだまだいけそうだね」

「うん。」




物足りなく身体を動かす姿に察したのだろうか、リョウキくんの言葉に頷けば、よしよしと髪の毛を撫でる手。




「？？」

「よしよし頑張り屋さん」

「、ふふっ、」




子供みたいな扱いをされるのは少しくすぐったい。
もうそんな、よしよしされる歳じゃないよって笑ってしまう。


さらっとリョウキくんの手から逃れて、着替えが入った袋を荷物と一緒に持ち上げる。




「ほな、着替えてそのまま帰るね」

「お？、……おー。おつかれ」


「ミヅキ。タクシー使いなさいよ」

「あ、はい。」




まだ電車もある時間なのに……『歩いて事務所まで行こう』という思いが顔に出ていたのかな？日高さんがじっとこちらを見て言うのだ。

ほとんど苦笑いで頷く。
この人の察し能力には敵わない。






更衣室で練習着からGパンに着替えて廊下に出る。
イヤホンを付けるのを忘れたな、と自動販売機の前に立ち止まって鞄を探っていたら 足音が近付いてきた。




「ミヅキ」

「……あー、おつかれ」

「おつかれ。マナトん家でBruno MarsのDVD見るけどお前もくる？」




連れ立って歩いてきたのはソウタくんとマナトくんだった。メンバーみんな仲が良いけど、この2人は特に一緒にいるのを見ることが多い。




「、あー」

「……なんだよ。別に用事もないだろ？」

「うん……」




目を泳がせる私に、眉根を寄せるソウタくん。
事務所にギターを弾きにいくつもりだったって、なんか断りづらい理由だよなぁ。こんな時間から？とか無駄に心配させそうだし。

ただ、素直に“行く！”というタイミングを逃したかもしれない。行きたくないわけじゃないけど……んーと。




「……ショウタくんも来るよ」

「えっ！」

「どう？来る気になった？」

「い、行くっ！」




私の答えにニヤッと笑ったマナトくんが、隣を見て「良かった」と目配せする。「しょーちゃんに負けたのかよ！」とソウタくんは言うけど、そういうわけじゃないんだ。




「ごめん、これから事務所行くか迷ってたの」

「事務所？なんで」

「新しいお仕事の、ギター……ちょっと練習しようかなって」

「……なるほどな。えらい。安心しろ。マナトん家にギターある」

「ははっ、結局俺ん家で練習？」




俺のギター使ってくれるんだ、嬉しい。

とか冗談言ってるマナトくん。
いやいやBruno Mars見るんやろ。




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