11-1 アフター・テン ページ11
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日高さんの目を通したリハーサルを1時間程度行って、時刻は20時すぎ。
「シュントとリュウヘイはそろそろ出ましょうか」
今までスタジオの端で見守っていたモモヨさんが、椅子から立ち上がりながらそう声をかけた。
「あ、そっか、ミヅキは帰らないんだっけ？」
「はい。明日の朝帰ります」
日高さんの言葉に舜斗が隣で「ずりぃ」と言う。
明日は午前中が新生生徒会による生徒総会で、3年生はお休みなのだ。いつもは帰阪のために早く切り上げなくてはいけない日曜の夜も、明日の朝移動してそのまま登校としてしまえば、まだ時間を気にせずにすむ。
「僕も帰るのやめようかな」
「……ほらぁ、リュウが舜斗の真似するやん」
「ハッ、ヤンキー」
「シュントだって1限飛ばすとか言ってたじゃん」
「俺は真面目だからそんな事しねーよ」
「どの口が言うてる？」
私達の軽快なやり取りを、日高さんが嬉しそうに笑いながら見守っている。「共同生活で益々息が合ってきたんじゃない？」と、最近彼は私達を見る度にそんな事を言うのだ。
ブーブー言いながらも時間がない2人は、大雑把に身支度をしてものの数分でリュックを背負ってスタジオの出口に立っていた。
「じゃ、また金曜日」
「悪ぃけどゴミ出しといて」
「ん。……あ、パン食べきってええやんね？」
「いいよー。僕のプリンも食べていいよ、もう賞味期限切れるから」
「ははっ、ありがとう」
そんな会話を早口でして、私を含めたメンバーに雑に手を振った2人は、そのままスタジオを出て行った。
リハの続きを……と鏡を振り返ると、鏡越しに残りのメンバーの視線が自分に集中している事に気がついた。
「、なーに？」
「お前らほとんど家族やん」
「……おー、私が1番上のおねーちゃんね？」
「どう思うマナト？」
「んー、ギリ シュントが上」
「？！」
ソウタくんに訊ねられてそう応えたマナトくんに「なんで？！」と声を上げても、いつもの優しい顔で笑うだけ。
舜斗の方がやんちゃな事ばっかり言うし、すぐ人を煽るのに、どうしてだろう。
(ああ、まただ)
Tシャツのお腹の辺りを無意識にギュッと握る。
日高さんと“お父さんと名乗る人”の話をしてから、タイミングを合わせたかのようにみんなとの話題に 家族のことが増えた気がする。その度に頭をよぎる後ろめたさが、本当に嫌だ。
(練習終わったらギター弾きに行こうかな)
折角日高さんが認めてくれたんだしそうしよう。
そうやって無理やりにでも頭を音楽で一杯にしていないと、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうなくらいに。
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています！！ (11月27日 20時) (
レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました！たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました！天才っ！！ (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね！リルアワとのリンクも楽しんでいただければ！ (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白 | 作成日時：2023年4月7日 23時
