愛らしいとは ページ3
…距離が、近い
それはもうとっても、少し動いたら顔と顔が触れ合ってしまいそうで吐息すら感じられる
「え?…ぁ、えっと?」
一期は冗談を言うような人でもないし、軟派な性格でもないのは普段の姿を見ていれば解る。つまり、これは“本気”だ
「そ、れは、えっと、あの…」
忘れかけていたがコミュ障を再発病したようだ←なんて答えたらいいのか解らなくて、素直に有難うございますと言えばいいのか、そもそも愛しいなんて言われて告白なのか家族愛なのか、頭の中でグルグル思考がこんがらがって狼狽えて口の中が乾いていく
一期「…」
その様子を静かに見つめる一期、距離も変わらないまま顔を隠す事も出来ずに情けなく狼狽えるAをじっくりと見つめる目には優しさが滲んでいた
一期「…はっきりと必要ない、もしくは嫌だと言わないのは、A殿の優しさですか?それとも私にもまだ可能性はあると期待しても良いのでしょうか」
そう言うと一期はそっと体を引いた
「…っ」
まだパクパクと口を開閉することしか出来ないAに
一期「なんて、混乱させてしまっていては咄嗟に反応できないものです。態と困らせるようなことをしてしまいました。拒絶されるかもしれないと思うとついつい狡くなってしまいますね、すみません」
そう困ったように笑う一期は何時ものようで、それを見て漸く落ち着きを取り戻してきたAは何かを言わないとと口を開いた
「側に居てくれるのは勿論、私も皆と一緒に居たいですし、でも誰かを特別にって言うのはまだよく解らなくて、だからその…わ、私はーーっ?」
ついつい捲し立てるように話す、纏まらない考えでも早く答えてあげないとと、そんなAの唇に一期は人差し指を添えて止めた
一期「今は…側に居させてもらえるだけで充分です。なので、直ぐに答えを出してしまおうとしないでください。“お願い”します」
「…は…い、解りました…」
そのお願いは、誰の為だろうか。きっとそれを聞いても一期は臆病な自分の為とでもいうのだろう。でも…そのお願いに救われたような気持ちになったのは、安堵してしまったのは私だった
一期「そんな泣きそうな顔をさせたいわけではないのです、主君である貴女を困らせた…こんな自分勝手な私をA殿は怒っても良いくらいですよ」
そう言う一期は優しくAの頬を撫でた
「怒るなんて出来ない…」
鶴丸や三日月のように強引であったなら怒れた、でも一期は家族の様な温かさを持って私を思ってくれたのだ
96人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪 - 鶴丸さん寄りがいぃぃ (2020年11月27日 18時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:珀錏 | 作者ホームページ:http://twitter.com/hakua422402
作成日時:2019年12月19日 1時