炭治郎、元妹に会う【鬼滅の刃】

違う　4/5修正 ページ5

you side


朝。

昨夜の一件で、寝覚めは悪い。

起きて厨房に顔を出す。

出来上がった食事を自分で持っていく。

手を付け始めた所で、朝食を一緒に食べていいかと困り顔で笑う金髪が来た。


『誰と？』

「えっと、Aちゃんと。」

『違う。…あの人は？』


そういうと、一拍あいて「あぁ、炭治郎ね。」と理解したようだ。

眉間にシワが寄るのがわかる。


「嫌だったら俺とAちゃんだけで食べる？」


そう聞かれて、あぁ、それもありかもな。

とは思ったが…

そもそも知り合ったのはいつだ？

まだ六時間と経っていない。


『昨日の今日でそれはどうなの。』


そう言ってまたもくもくと食べる。

なにか言いたげな彼に『あの人と食べてくれば？』と言って結局断った。

食事を終えて、少ししてから中庭で刀を振る。

『ふっ、ふっ』と、刀を振るたびに息を吹く。


「A！」


6歳から聞いた声。

今となっては少し忌々しくもある。


『…何。』

「少し、話さないか？」


そう言われて、前まで付けていなかった耳飾りに目が行った。

確かお養父さんが付けていて、炭治郎は…

少なくとも見たことは…ない。と思う。

視野が狭まり、影が揺らぐ。

長身の男。髪をひとつに束ねた男。


『その耳飾り…』


その男は、影は炭治郎ではない。

私はこの人を知らない。


「"花札のような耳飾りをした鬼狩りを探せ"」


頭の中で声がした。

紅い目で、私が"あの時"に見た人物。

過去、私の人生に関わる事件の時の。


『…なんの為に？』

「A？」

『…きぶつじ、むざん。』

「ｯA、鬼舞辻を知ってるのか？！」


鬼舞辻、冨岡さんが言っていた鬼の元凶。

名前だけしか知らない。頭に霞がかかっている。

耳飾りの赤が、炎のような熱さが指に伝わって…


『いやっ！』

「A？どうした？！なんで鬼舞辻を知ってるんだ？！」


炭治郎が「鬼舞辻」と言うと、頭がズキズキと痛む。


『ぁ…、やめ、』

「A！何を知ってるんだ！」

耳の奥で声がする。

「"炭治郎君に引っ付いてるあの子、不気味ねぇ…"」

「"ウワサじゃ養子でしょ？"」

「"でも、この前紅い目の端麗な男と歩いていたわ。宿屋に泊まってたみたい。"」

「"あの宿屋？この町にひとつの？"」

「"えぇ。手には噛み後もあったって。"」

「"獣みたいねぇ…"」


…私は。

葵枝と炭十郎の娘であって。

鬼舞辻の娘なんかじゃ、絶対にない。

絶対にあり得ない。


ほんとうに？

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