【ハコヅメ】同期しか勝たん

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『っはぁー！！疲れた……』


「おう、お疲れ」



ここ最近で一番手強い違反者を、炎天下の中30分粘って説き伏せ、ようやく切符を切ってパトカーの車内に戻ると、例によって先輩は椅子を倒してリラックスしまっくていた


いや、"おう、お疲れ" じゃねーんだわ



「今日はまた随分と長かったな」


『二人で対応してたらもっと早かったでしょうけどね』


「海月、何事も経験だよ、経験」


『…チッ』


「今舌打ちした？」


『してないです』


「なーによ、いつにも増して不機嫌じゃねぇの。
何言われたの？」


『…… "お前ぇみてぇな女、一生結婚できねぇから"』


「あらら。ちなみに今まで彼氏いたことは？」


『ないです』


「だからその言葉が当たりそうなだけに腹立ててんのな」


『うるせぇです』



先輩の言葉が図星すぎて、口調が変なことになる



「俺とペア組み始めたときはあんなに素直で良い子だったのにな。
今じゃこんなになっちまって…」


『こんなって何ですか。
最初の頃は、先輩の顔がドストライクだったからモチベもあって、一生懸命働けてたんすよ』


「何だよそれ、俺の顔が最初の頃と変わったみてぇな言い方」


『いや顔は変わってないですけど、仕事量の割合が明らかにおかしいじゃないですか。
私ばっかり暑い中切符切らされて、先輩は涼しい車内で待ってるだけって』


「だーかーら、これは新人教育の一貫なの！
それにお前、白バイ隊員になりたいんだろ？ 手柄は全部お前のもんになるし、俺はお前の推薦状をきちんと書いてやれる。
良いことずくめじゃねぇか」


『それはまあ、そうですけど……』



なんか上手く言いくるめられてる気がする



「にしてもお前、なんで白バイ隊員になりたいんだよ」


『あれ、言ってませんでしたっけ』


「言われてねぇよ」


『──あれは、私が高校生の時のことでした……』



先輩は、「何か始まったぞ」みたいな顔をするが、無視して続ける

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