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疲労のせいでバランスを崩した男の隙を見逃さず、Aは一息に距離を詰めて的確に人体の弱点を狙った。
ゴム製とはいえある程度の強度を持つ短刀で膝関節を思い切り打ち付けられた男は、あまりの痛みに呻いて倒れ、起き上がろうにも起き上がれず蹲る。
その男が倒れた事によって、一時この場が静寂に包まれた。
倒れた男を一瞥して、Aは静かに告げる。
「ご主人は、全力でやれと言いました。
僕は負けるつもりはありません」
だから、かかってこいと言わんばかりに薄らと笑う。
その表情を中二階で見ていたトントンたちは、俄かに騒ぎたった。
「おいおいおいおいおい！トントンお前、Aにえらい教育したなぁ！？」
「純粋だったAが消えてもうた…！」
「ワイも知らんわ！誰やこんなこと教えたやつ！」
「いいぞぉ！もっと煽ってけ！」
「はははははは！やはりゾムか！あの笑顔は見覚えがあるゾ！」
マイクを通さなければ階下に声が届かないというのに、Aに声援を送る男5人。若干名は顔を覆っているが。
そんな状況とは打って変わって室内訓練場では、Aが反撃を続けていた。
短刀を握ったままの拳で相手のこめかみを殴り、ロンダードでゴム弾を避けると振り向きざまに後方に迫っていた相手を回し蹴りで頸椎を蹴り落とす。
間合いのあるレイピアには、短刀の刀身を滑らせることで距離を詰め、籠手を強かに打ち付けると武器を取りこぼした相手の鳩尾を蹴り飛ばした。
初めにいた100余名の一般兵はその数を半数以下にまで減らされ、気絶した男たちの中央には少しだけ流れてきた汗を雑に拭い、短く息を吐き出すA。
残った男たちはその光景に息を呑んでじり、と後退りをする。
「敵前逃亡ですか」
凪いだ声が後退りをした男たちの足を止める。
「戦略的撤退と、逃亡は違いますよ」
倒れ伏した男たちを越えて、Aは歩く。
「ご主人からの命に、『逃亡』は含まれていません」
姿勢を低くして、短刀を構える。
「さぁ、始めましょう」
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
