こぼれ話 弐 ページ43
「あの子供、またトントン書記長の元についたらしいな」
「素性も知れない、自分を武器だなんて言ってる奴をなんで書記長殿は手元に置いておくんだろうな」
「体のいい道具扱いで十分だろう。この間の侵入事件だって、血だらけになりながら捕まえたんだろう？
あれだけの怪我がすぐに治ったのもおかしいしな」
「見た目がああだから、あまり言いたくはないが…さっさと使い潰してしまえばいいんだ」
ひそひそ、ひそひそ。
あれだけの功績をあげても尚、相変わらずAへの陰口は減ることがなかった。
それは必ず、幹部の居ないところで行われる。
ひそひそ、ひそひそ。
Aはそれでも、知らぬふりを続けた。
ただ、トントンとAが仲直りをしてからというもの、その光景に新たな展開が訪れる。
Aがその場を通り過ぎた後、陰口をしていた3人の一般兵の背後に音もなく現れる人影。
「ほうかほうか、そんなこと思っとったんやなぁ。
ワイ気付かんかったわ。
よう見たらチーノんとこの部下やないか。
あいつどういう教育してんねん、一回しばいたらなあかんなぁ」
「ト、トントン書記長殿…！」
「あの、これは…！」
「そない思うことあるんやったら、直接言わんかい。
陰口がいっちゃん卑怯やぞ。
俺もAも、逃げも隠れもせん。
文句あるんやったら正々堂々言いに来たらどうや」
「そんなつもりでは…！」
にこにこと笑っていたかと思えば一瞬にして表情を無くして吐き捨てるトントンに、狼狽する一般兵は慌てて謝罪を口にする。
「謝るくらいなら、初めから言わんことやな。
自分の評価を下げるだけやで」
まぁでも、真っ向からの『殴り合い』ならいつでも受け付けとるわ。
そう言い残して、トントンはその場を後にした。
残された一般兵は、そんなトントンに恐れながらも、言葉の意味を正しく理解する。
真っ向からの殴り合い、つまり正式な試合でAと相対しろと、そう言い残していったのだ。
このトントンの言葉で、軍内部は俄かに騒ぎ立つ。
そしてそれはいよいよ幹部、ひいてはグルッペンにまでも伝わり、自他ともに認める戦争狂のグルッペンは嬉々として正式な場を設けてしまった。
それを知ったトントンは、静かに頭を抱えたという。
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
