. ページ41
「その考えに到達するには、一週間は早過ぎると思うがな」
徐に立ち上がり入り口へ向かうと、なんの前触れもなく扉を開け放つ。
今まさに扉を開けようと手を伸ばしていたAが、そこに居た。
「トントン、お前の懐刀はお前が思っているよりもっとずっと有能やぞ」
「ご主人、あの、遅くなって申し訳ありません。
僕の話を、聞いてくれませんか」
「……おん、こっち座りや」
室内に入ってきたAと入れ違いに、グルッペンが退室しようとする。それをトントンは視線だけで止めて、この場に残るよう訴えた。
その視線に気付いたグルッペンは、やれやれとでも言いたげに扉を閉め、入り口付近の壁を背にして凭れるように立つ。静観の意思を伝えた。
トントンに促されて、先ほどまでグルッペンが座っていたソファに腰を下ろしたAは、ひとつ深呼吸をすると、しっかりと意思を宿した目でトントンを見つめる。
その声は、とてもしっかりとしていた。
「この謹慎期間中、たくさんの方とお話させて頂きました。日常の他愛もないことから、ご主人に関することも。
僕はずっと、武器であることが誇りでした。
それが僕の矜恃であると。
だから、ご主人の感情が分からなかったんです。
『道具』である僕の身体を、なぜそこまで気にするのか。
皆さんはご主人のことを、口を揃えてこう言います。
優しい男だ、と。
ご主人は僕のことを、初めから『ヒト』として見てくれていた。だから、あの時の怪我だってとても心配してくれた。直ると言ったことにだって怒ってくれた」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
