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「なんやこの焼け焦げた…刀、か？
戦利品としてはあれやけど、せっかくやし貰っとこか」
「トンち行くでー」
「おー」
グルッペン・フューラー総統率いる我々国は、強者
揃いの周辺諸国をものともせず、大躍進を遂げていた。
そんな大躍進を列強国は黙っておらず、こうして度々小競り合いを続けては退ける事を繰り返している。
トントンは書記長という役職に就きながらも、こうして鬱と共に一個師団を率いるほどには、腕っ節に自信があった。だからというわけではないが、どこか慢心していたのも事実である。
追い詰められた人間は、咄嗟に何をしでかすか分からない。
息のない人の山を横目に歩くトントンの背後に、既に虫の息だった敵国兵が最期の力を振り絞って刃を振りかぶった。
前を歩く鬱がトントンに話しかけようと振り返った頃には、もう間に合いそうにない。
「トントン後ろ…！！」
トントンには何もかもがスローモーションに見えた。
振り上げられた刃、それがもう眼前に迫ろうとしている。
自身の油断が死を招くことなど、散々分かりきっていたことなのに。
それでもと、自身の愛剣である粛清剣に手を伸ばしたのは少しばかりの意地か。
瞬間、辺りを突風が駆け抜け、どこからともなく桜の花びらが舞い乱れる。
咄嗟に目をつむったトントンの耳には、ガキンという金属同士がぶつかる音と、声変わりも迎えていないような少年の声が聞こえた。
「危ないところでしたね、ご主人！
僕は無銘の短刀。なんで無銘かって？
焼けてほとんど記憶がないからですよ！」
深緑色のフィールドジャケットに短パン、クレッツヒェンの縁にはぐるりと一周するように赤の一本線がデザインされていて、この少年にとてもよく似合っている。
少年は競り合っていた刀身を滑らかに翻すと、敵国兵の横っ面へ綺麗に回し蹴りを喰らわし昏倒させてしまった。
一仕事終えたと言うようにパンパンと手を払い、くるりとトントンの方へ向き直る。
「ご主人、お怪我はないですか？」
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
