ハケンのやまだくん (ページ12)

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始業後直ぐなので、ラウンジには幸い人がいない。

「山田…くん、この前は…」

そう言って見下ろせば、山田くんの頭のてっぺんが。

「うわぁぁぁ、すみません！」

思いきり山田くんの肩を抱いていたことに気付いた！

「何か色々、本当っ！すみません。ごめんなさい！」

それはもう、凄い勢いで頭を下げた。
俺の腰は90度以上曲がっている、何なら土下座するべきか…

「いや、あの時は…俺こそあんまり喋れなくて…誤解させちゃったようで」

えっ？一人称俺なの…じゃなくて

「ハハッ、俺はてっきり、薮くんのか……っ」

彼女かと思って…。
そう言いかけたが、待て待て待て。
今時ジェンダーレスとか同性婚とか当たり前になっている世の中だ…
薮くんの彼女、いや彼氏？説は否定できない。

「か…？」
山田くんが不思議そうに首をかしげる。

「かっ、か、髪切りました？」
よし！誤魔化せた。

「はい……」

少し恥ずかしそうに、俯く仕草はこの間と変わらない。

髪が短くなって前よりも幼く見えるがゆえに、可愛さが倍増してる。

「あの…」

山田くんが、戸惑いつつも口を開いた。

「この前の事は秘密にしてもらえませんか？」

うわーっ、うわーっ

やっぱり薮くんと付き合ってるのかーっ
すっごい秘密を知ってしまった。
ドキドキする心臓を押さえて、

「へ？大丈夫っ、イワナイ…誰にも…」

少し返事がぎこちなくなってしまったかな？

「よかった。男がパンケーキとか恥ずかしくて…」

山田くんが心底安心したように微笑んだ。

「そっち？！」

誰もいないからよかったが、またまた大きな声でたわ！

山田くんがビクッとして慌ててる。

「え？え…そっち？どっち？」

うん、かわいい。

はぁ…俺…

これから山田くんとちゃんと仕事できるかな……