君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ8)

今日:5 hit、昨日:12 hit、合計:51,837 hit

7話ページ8

7話
sideA

あの日から数日たった。
色んな人から薫の女遊びの酷さを聞いた。
でも私にはどうすることもできない。
だって、私は嫌われてしまっているから…。

仁兎「Aーあんずが呼んでるぞー」
A「ん？」

あんずちゃんが私に？
衣装のことかな。

A「どうしたの？」
あんず「あ、A先輩…衣装のことと、別のことでお話が…」
A「…ここじゃだめなこと？」
あんず「できれば人のいない所の方が…」
A「わかった。図書室にでも行こうか」

図書室に向かうまでに衣装のことは話し終えた。
図書室に入り、誰もいないことを確認してから本題を聞く。

あんず「最近、羽風先輩が…変なんです」
A「……変？」
あんず「女の人なら周りにたくさんいるはずなのに変に絡んできて…」

あんずちゃんは困ったように言ってる。
これは本心だろう。

A「あんずちゃんは薫が嫌い？」
あんず「嫌いでは無いですが、困ります」
A「あは、ストレートな物言いだねぇ」

だけどこの子のそういう所は素敵だと思う。
きっと薫はこの子を好きになったんだろう。
そりゃ、一緒にいるところを見られるとまずいはずだ。

A「薫は良い奴だよ」

だから少しだけ助け舟を出そうと思う。

A「良い奴だから直接迷惑だって言っても大丈夫だよ。好きな子の嫌なことはしない主義だと思うから」
あんず「わかりました。直接言ってみます。A先輩に相談できて良かったです！」
A「なんでも相談して？一応歳上だからね」

あんずちゃんは1度頭を下げてその場を去った。
本当にいい子だと思う。
仕事熱心で、可愛くって。

A「……いいなぁ……」

なんで私は薫のそばにいられないんだろう。
薫があんずちゃんを好きになるより前から、私は薫のことが好きなのに。