君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ10)

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9話ページ10

9話
sideA

あんずちゃんのお願いで新衣装を着た写真を撮ってきて欲しいと言われた。
あんずちゃん最近忙しそうだしこれくらいのことはやってあげないとねー。
すぐあの子倒れそうだし。

言われた場所に行き、中に入る。
そこに居たのは

A「…薫…」
薫「や、やっほー？」

あんずちゃん、どうして…？
いや、でもこれも仕事だから。

A「他の3人は？」
薫「レッスン室だと思うよ？なんか色々調整するんだってさ」
A「あ、そうなんだ…」
薫「あのさ、この衣装ちょっと複雑そうだから手伝って欲しいんだけど…」
A「あ、うん、いいよ」

着替えを手伝う。
その後にスマホで写真を撮ってあんずちゃんに報告。

A「ローアングルをもう1枚、か」
薫「下からのやつ？」
A「うん。もう1回ポーズとってくれる？」
薫「いいよー」

ほぼ、雑談はせず無言だった。
なんというか、気まずい…。

A「うん。あんずちゃんがOKだって」
薫「おー良かったー。Aちゃんありがとね」
A「どういたしまして」

さっさと片付けて退散しよう。
気まずい所ではなくなってきた。

A「じゃ、私はこれプリントアウトしてあんずちゃんに私に行くからー」

ドアノブに手をかけた時後ろからその手を引っ張られた。

A「…何？」
薫「いや、あのさ」
A「私、次の衣装に取り掛からないと」

本当は何も無い。
ただここから逃げたいだけ。

薫「聞きたいことがある、だけ」
A「何？」
薫「…どうして、姫宮くんと婚約したの？」

拳をぎゅっと握った。
今更それを聞いてくるんだね。

A「両家にとって都合がいいからだよ」
薫「そこにAちゃんの意志はあるの？」
A「あるよ。私が決めたんだから」

だから、その手を離して。

A「困るよ薫。婚約者がいる身で他の男の人と密会とか言われたら…桃李に迷惑かかっちゃうから」

手を離そうとした。
だけど離れない。離せなかった。
薫が力を緩めてくれないから。