第百七十四話:年上であり、年下でもある ページ36
灰原side
阿笠邸で留守番している灰原は、一人欠伸をしながら雑誌を読んでいた。机に置いていたマグカップを口に運びながらボンヤリと考える。
「……」
神崎A。
本来の自分よりも1歳年下の、呆れるくらいハイテンションな彼女。
あの娘は少々一般人とは言い難い。いやむしろ変人の枠に入る(本人は全力で否定するだろうが)。
簡単に言えば、騒がしくて能天気。薬で幼児化する前の自分だったら最も苦手とするタイプの人間だっただろう。
バアンッ!!))『たのも――!!!』
「ッ!?」
噂をすれば影、だろうか?
不意打ちで思わず中身を零しそうになったマグカップを片手に振り返れば(何故か)買い物袋を片手に、道場破りの様なポーズをしたAがそこにいた。
灰原はしみじみと思う。あの娘のこういう所が変人だと言われる一番の原因なんだと。
『……って、博士いないのか……』
「……急にどうしたの?A……」
『哀ちゃんっ!』
相も変わらず彼女はこちらの顔を見ただけで心底嬉しそうな笑顔を浮かべる。この輝かしい笑顔が自分に向けられているものだと思うと、不快なわけではないが照れくさくなりつい視線を逸らしてしまう。
それに気づいているのかいないのか、彼女はより一層顔に微笑みを浮かべる。
『ちょっと貸して欲しい道具があって。絶対にあるのかどうかは分からないんだけど、博士だったら持ってそうだなーって思って……』
「?」
こんなのなんだけど……、とAは優しい口調で会話を進めていく。
内容は何に使うのか若干疑問に思うものだったが、Aなら不思議じゃないだろうと脳内で片付ける。
「……ああ、それなら私が持ってるけど……」
『ホント!?』
普段仕舞っている場所から取り出して彼女に手渡す。彼女はありがとう!と言って慎重に買い物袋の中に入れる。成程、袋を持ってきたのはこの為か。
『ごめん、ホントはもっとお喋りしたかったんだけどこの後外せない用事があって……じゃ、また今度!』
「はいはい……」
来た時と同じように慌ただしく消えていく背中を見送りながら、ふと考えた。
もし、
Aが自分の正体を知ったなら。
“宮野志保”にも、“灰原哀”と同じように接してくれるだろうか?
人殺しの薬を生み出してしまった科学者にも、同じように微笑んでくれるのだろうか?
「……なーんて、ね」
確かめようもない疑問なんて、不毛でしかない。
灰原はフッと笑って玄関から背を向けた。
ーーーー
リハビリがてらに哀ちゃん書いたぜベイべェ。
次回からスバちゃんとAちゃんしか出ないかも〜_(:3」∠)_
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さくら(プロフ) - 輝さん» うわあ!!!!!うれしい!!!すごい嬉しいです!!!!!!!!!!そうですねえ主人公の夢主が現代軸なのでウイスキートリオとかの過去軸かけたらたのしいですね!うわああ掛け持ちしたくなっちゃうぜウヘヘヘ (2018年5月18日 21時) (レス) id: f18f805e19 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - さくらさん» 後藤の普段はアホっぽい(褒め言葉)のにたまにふと見せる闇的なの凄いツボです!今度、出来たら後藤を夢主にしたものとか見てみたいです切実に((キリッ (2018年5月18日 21時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - さくらさん» え、前にも言われた事あったんですね!(笑)はい、もちろん。私、前後ペア好きです!面白いし(笑) (2018年5月18日 21時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 輝さん» 前にも言われたことありますね。あっちの藤四郎兄弟も好きですがこっちの前後ペアもヨロシクです!!! (2018年5月18日 20時) (レス) id: f18f805e19 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - 前田と後藤…やべぇ、刀剣乱舞しか思い出せないw (2018年5月18日 19時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2017年3月26日 18時