【名探偵コナン】同居人が変装してたとか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

第百五十九話 ページ21

「ん?ニット帽って誰のことよ」

『昴さんの知り合いで命の恩人です。黒いニット帽が嫌ってほど似合う、不審者顔のイケメン……』


耳ざとい前田さんが早速疑問を投げ掛ける。
彼女は手元のカルテなどを整理しながら楽しそうに話を聞いていた。この人はイケメン話が大好き(ミーハー?)だから園子とは気が合いそうだな……

後藤さんは親切なのかそれとも単純に暇なのか(おそらく後者)、私の話に出てきた新しい人物に興味を持ったらしい。軽く身を乗り出して口を開く。


「ふーん、なんて人なんだ?」

『赤いしゅu……ｹﾞｯﾌﾝｹﾞﾌﾝ、あ、赤石雄一さんといいます!』←

「?今なにか誤魔化してn……」

『ませんね!誓ってｯｯ!!』


あっぶねぇえ!?ナチュラルに機密情報ぶちまける所だった!!ギリギリセーフ!それより何だよ“あかいし ゆういち”って……私のネーミングセンス皆無だ。平仮名にすると尚更紛らわしいなオイ

ってか完全に忘れてたけどこの方FBIじゃん?あのニット帽とお仕事仲間って事じゃん!?
慌てて思考を張り巡らせていると、案の定彼は心当たりがある人らしく、突然吹き出した。


「ブッ……ｯハハ!黒いニット帽で赤井……じゃなくて赤石か!もしかしてその人、左利きだったりするか?」

「何よ、知り合い?」

「知り合いというか……俺の職場の有名人なんだ。その人と名前が似てて、特徴まで一緒でさ……」

『そうそう、確かにその人も左利きですよ』


私がそう肯定すると、やっぱりか!と言いながらケタケタ笑い始めた。


「そんなに共通点があって、挙句名前まで似てるなんて、実際は名前だけ聞き間違いで同じ人なんじゃないのぉ〜?」

「いや、それはない」


ひとしきり笑った後藤さんはキッパリとそう言った。


「だってその人数ヶ月前に亡くなってるし」


真顔で平然と言ってのける辺り、つくづく変な人だと思った。

第百六十話→←第百五十八話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す