【名探偵コナン】自宅にカチコミされるとか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#494 ページ18

「まあ、単純な死体スリ替えトリックですよ」
「ホォー……ミステリーの定番ですね」
「(やれやれやっとお茶が置ける……)」


　二人がソファーに腰を下ろした所で、こっそり息を吐きながらトレーをテーブルに乗せる。動揺しすぎでこぼしちゃわないかってずっとヒヤヒヤしてたのよ。三人分も淹れたんだから地味に重いんだよね。


「はい紅茶です、どぞ」
「ああ、ありがとうございます」
「……どうも」


　膝を折ってティーカップを二人の目の前にそっと置く。ミルクと角砂糖は要らないかな〜と思ったけど一応添えておいた。備えあればうれしいなって言うし単に私が糖分欲しい(心労)

　さて、私も座ろ。立ち上がって席を見てみると、空きは安室さんの隣or対角にある一人掛けソファ。昴さんは別の一人掛けソファに座ってる。こんなのほぼ一択でしょ！と足を向けると、


「おや。Aさんはこの話に興味ありませんか？貴女の意見も聞きたかったんですが」
「え、あ、そうなんです？？昴さんに用があるみたいだし私は良いかな〜と……」


　ハイすかさず引き留められました。逃げ出したいとは思いつつ、有無を言わさない鋭い視線が刺されば為す術もない。


「それとも、ミステリーはお嫌いでしたか？」
「いや好きです(素直)」
「なら話は早いですね！さあどうぞ」
「うぅ……」


　安室さんは何故か嬉々として自分の隣席をポンポンと叩いた。
　まあ、テレビ見やすいしいっか……(いいんだ……)

──


　ソファーに腰掛けた私の隣で前のめりになって肘をつく安室さんとは対象的に、昴さんは腕を組み背もたれに身体を預けていた。


「ある男が拳銃で撃たれ、車と一緒に焼かれたんです」
「(ん？どっかで聞いた話だな)」


　テレビに安室さん達にも集中出来ず、とりあえず紅茶をカップに注いでいると聞き覚えのある話が聞こえてきて顔を上げた。

　このキーワード……いつだったか調べた、来葉峠で車が炎上した事件だ。確かそこで秀さんが死んだ事になったんだもんね。
　死んだのが秀さんと証明されたのは、携帯電話についていた指紋と焼け残った遺体の手の指紋が一致したかららしい。


「でも妙なんです」
「妙とは？」
「その携帯に残っていた指紋ですよ。その男は左利き(レフティ)……なのに付着していたのは右手の指紋だった。変だと思いませんか？」
「(おお……確かに……！！)」


　今まで何故？？と思っていた秀さんの偽装死について、徐々に紐解かれているのを感じる。ずっと気になっていたのもあり、知らず知らずの内に推理小説の話を聞く時みたいに引き込まれていった。

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2023/06/11

気づいたら時間飛んでやがる

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