第81話 没義道 ページ19
2018年 9月__?日
時刻:8時30分頃
ザッ
ザクッ
土を踏んで山を下りていくA
屋敷から出て
新幹線に乗る為に駅に向かっていた所だった
「ぅうぁ"…ぁ"ぁ"ぁあ"あ__!!!」
その時聞こえた、恐らく…子供の泣き声
悲痛な声だ、なにかに悶えるような苦しそうな声だ
声的に距離はあまり遠くない
『"子供を探せ"』
Aは蝶を出して指示をし、自分も駆け出した
子供の泣き声は大きくなっていく
その声は何処か異常な声だ
泣きじゃくる、なんて単純なものじゃない
『___っハ…ッ』
見つけた、と思った時
喉が嫌な音を立てて息を飲んだ
起こった心の動揺に蝶が消える
「ぃい"だぁ"…ぁ"あァあ"ィィ"イ"!!!!!」
手が震える、吐き出す息が震える
椿とさほど歳が変わらなそうな小さな女の子
茶髪をツインテールにした可愛らしい女の子
なのに、
なのに
『っ…』
足が、両足の足首から下が、無い
『(どうして足が、どうしてこんな山の中に、
いや、そんな事より早くこの子を病院に___)』
痛い、痛いと泣いている少女に一歩、
と近づいた時
「初めまして、蝶狐A。
君を迎えに来たよ」
背後から聞こえた知らない男の声
ぞわりと全身に駆け巡る危険信号
逃げろと
体が、本能が、叫んでいる
それ以外にも感じる、強い呪いの気配
一体なんてものじゃない
『っ、おいで、ここから逃げよう
病院に行こう』
「ぅう"う、いた"ぃ…なぉる?」
『……治る、治るよ、大丈夫…』
危険だと判断し、直ぐに少女を促して抱き上げる
足首からの血が止まらない
『(出血が酷い、この子の体も
精神的な面に関しても
時間が無い)』
後ろにある強い気配を感じながら頭を回す
取り敢えず自分のブレザーを脱ぎ、
一番生地が薄く
破りやすいカッターシャツを
なんの迷いもなく勢いよく引きちぎった
『ちょっと痛いけど、我慢してね』
破ったシャツを少女の足首へ括り付けキツく縛る
少女は痛みに顔を歪めるが
Aに必死にしがみついて耐えている
『…よし、偉いね
もう少しの辛抱だよ』
「そんな猿には反応して私は無視かい?
酷いなぁ」
『…酷いのはアンタらの方でしょ、屑』
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マリア - もう、何度も何度も読み返してます。本当にこの作品を愛してます。成り立ちも、感情描写も凄く繊細で美しく、引き込まれました。これからも、この作品を愛し続けます (7月16日 22時) (レス) id: 3821b6efdb (このIDを非表示/違反報告)
じゅじゅオタ - もう神作すぎるんだが……。この作品愛してる (2022年12月23日 23時) (レス) id: 96baaba9fd (このIDを非表示/違反報告)
じゅじゅオタ - え?絵も話も最高なんだが?あなたは神ですか?え??? (2022年12月23日 23時) (レス) @page37 id: 96baaba9fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - これからも頑張ってください! (2022年7月17日 12時) (レス) id: 5ace0f76be (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - イラスト上手過ぎ!!影の部分も細かい線や色使いも凄く丁寧に描かれていて凄いです!!話もしっかりまとまっていたり面白いところやシリアスなところが分けられていて今まで読んだ中で一番のお気に入りです! (2022年7月17日 12時) (レス) @page5 id: 5ace0f76be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘党組 x他1人 | 作成日時:2021年2月20日 20時