#18 ページ21
「暇……。」
ホグワーツの図書室。
ずーっと教科書とその関連書籍を読んでいたAは、椅子に座ったままグーッと伸びをした。
本を読むのは嫌いではない、むしろ好きだ。一時期は図書室に住みたいと思っていたほどである。
とはいえ、さすがに単調な教科書の文を読み続けるのは飽きる。歴史などはまだマシだが、変身術は小難しい言葉で理論が並べられおり、魔法薬学はこれまた小難しい料理本を読んでいるような感じで、もうそろそろストーリー性が欲しい。
Aは立ち上がって文学の欄に向かった。
魔法界というのは中世からほとんど社会組織が変わらず、別段大きな思想の変化もないようで、それゆえか文学作品はマグル界より少ない感じがする。特にファンタジー、ミステリー系統は少ない。……この世界自体がファンタジーであり、魔法でなんでもできてしまう世界なので仕方ないのかもしれないが。
となると、最終的に行き着くのは子供向けの読み物。昔話や童話である。
(児童書、久しぶりだなぁ。)
何ヶ国語も操るAにとって、児童書は言語のテキストのようなものだった。ストーリーが追いやすい分、単語も推測でき、感情移入しやすいので作者の考えや文化も捉えやすい。
日本に帰った際も真っ先に手に取ったのは児童書であり、帰ってきて1ヶ月くらいは読み漁ったものだった。ここ最近は一般書架の本を読むことが多かったが、やはり児童書の面白さは格別だと思う。
魔法界で読むとすれば、やはり物語の鍵である『吟遊詩人ビードル』の物語だろうか。
Aは背伸びして、『吟遊詩人ビードルの物語』を手に取った。
立ったまま、物語に引き込まれるように読み始める。
映画や、物語本編でも読んだ、『三人兄弟の物語』、ロンが口に出した『ぺちゃくちゃウサちゃんとぺちゃくちゃ切り株』など、様々な物語が載っている。
ペラリ、ペラリ、とページがめくる音だけが響く。
その空間を、不意に誰かの靴音が遮った。
「……立ったまま、何をしているのかね？」
低い声が響いた。
「何って、見ての通り本を読んでます、スネイプ先生。席に戻るのが面倒になったので。」
Aは顔もあげずに言った。
「もうすぐ昼食だが。」
「もうそんな時間ですか。別に食べなくてもいいんですけど。」
「何バカなことを言っている。子供が食事を抜くな。」
「実年齢は17歳です。」
「身体は子供だろう。」
Aはスネイプに半強制的に、大広間へ連れていかれたのだった。
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灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» （続きです）声が一瞬出なくなったのを表現したくて「〜！」の形にしました。読み返して気が変わったら採用するかもです。コメントありがとうございます！ (2017年9月8日 22時) (
レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 同じ番号があるのは、お話が続いているからです。計画性がないがゆえに1話に入りきらなかったんです。誤解を与えて申し訳ないです。円を描いたのは、なんとなくでどうしたらブラックホールを出現させることができるかわかったからです。超感覚として説明してます。 (2017年9月8日 22時) (レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「〜！菊月！」スネイプにユキは手で円を書く。スネイプ先生は円を書けといってないのに、円を書いたのですか？それと、こじんてきにですが、「きっ、菊月！」の方がいいかも！ (2017年9月3日 19時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - #4の表記が二つあります。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
ちあぴー - ここまで緻密なハリポタの物語は初めて読みました。読んでいて本当に楽しかったです。ありがとうございました！ (2017年8月24日 13時) (レス) id: 7643a06046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒 | 作成日時：2017年5月4日 18時
