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真っ黒な渦が消失し、Aは目を開ける。
「ここ、どこだ……?」
Aの声が響く。
ゴシック建築の廊下、日本とは違う乾燥した空気。おそらく西洋の建物の中だ。
Aは違和感を感じて自分の身体を見る。細く軽くなっており、子供の頃に戻っている。
服装は簡素な薄い緑色のノースリーブワンピース。
(何が起きてるの?わたしは寝落ちして変な夢でも見てるの?)
頰をグーっとつねるが、普通に痛みを感じるのでおそらく現実だ。
「おやおや、なぜ子供がこんなところに?」
ふわぁ、と銀色の浮遊物が現れた。
何度か、映画で見たことがある人物。
「え、あなたは……?」
Aは浮遊物に声をかけた。
「私はニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿と申します。グリフィンドール寮に住むゴーストです。」
銀色の浮遊物、ほとんど首なしニックは答えた。
「あなたは?」
ほとんど首なしニックは言った。
「菊月A。日本人。」
Aは答えた。
「ほう、日本人ですか。なぜここに?」
「それは私が聞きたいよ、サー・ニコラス。」
「ああ、サー・ニコラスと呼んでくださるとは。この学校の生徒は一部を除いてほとんど首なしニックなどと呼ぶのです。……仕方ありませんがね。」
Aがサー・ニコラスと呼んだため、ほとんど首なしニックは嬉しそうだ。
「とりあえず、校長のところへご案内しましょう。」
ほとんど首なしニックはAを連れて校長室へ向かった。
ガーゴイル像の前に着く。
「レモンキャンディー」
ほとんど首なしニックは唱えた。
不思議そうにAが見ると、
「私はすり抜けることができるのですがね、あなたがいますから。」
と言った。
そういえば、ほとんど首なしニックは本でも映画でも優しいゴーストだったなぁ、とAは思う。
「おお、サー・ニコラス。校長室へ来るとは、珍しい。」
出迎えた白い髭が立派な人物、アルバス・ダンブルドアが言った。
「お客様を連れてきました。日本から来たようですが、なぜここにいるのかわからないそうです。名は菊月Aと言うそうです。」
ほとんど首なしニックが言った。
「ご苦労、サー・ニコラス。では、A、少し話そうかの。」
ダンブルドアは優しく笑って言った。
「では、よろしくお願いします。」
そう言ってニックは部屋をすり抜けていった。
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灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» (続きです)声が一瞬出なくなったのを表現したくて「〜!」の形にしました。読み返して気が変わったら採用するかもです。コメントありがとうございます! (2017年9月8日 22時) (レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 同じ番号があるのは、お話が続いているからです。計画性がないがゆえに1話に入りきらなかったんです。誤解を与えて申し訳ないです。円を描いたのは、なんとなくでどうしたらブラックホールを出現させることができるかわかったからです。超感覚として説明してます。 (2017年9月8日 22時) (レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「〜!菊月!」スネイプにユキは手で円を書く。スネイプ先生は円を書けといってないのに、円を書いたのですか?それと、こじんてきにですが、「きっ、菊月!」の方がいいかも! (2017年9月3日 19時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - #4の表記が二つあります。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
ちあぴー - ここまで緻密なハリポタの物語は初めて読みました。読んでいて本当に楽しかったです。ありがとうございました! (2017年8月24日 13時) (レス) id: 7643a06046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒 | 作成日時:2017年5月4日 18時