#9 ページ12
マルキンの店を出た後、鍋や薬瓶といった細々とした品物を買い、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に向かう。
Aは教科書を集めつつ、別の本も拾い読みする。隣を見れば、スネイプも本を物色しているので、早くしろとは言わないだろう。
(あ、「吟遊詩人ビードルの物語」だ。)
物語の鍵を握る本を見つけて、Aは背表紙をなでる。
(君の原書に会うのはいつ頃かな……。)
Aは悲しげに微笑んだ。
その後、魔法界の文学に浸っているとスネイプに肩を叩かれた。相当読み入っていたらしい。
「ホグワーツの図書室に行けばいくらでも読める。早く勘定を済ませろ。」
スネイプはすでに本を持っている。
「すみません。」
Aは両手いっぱいに教科書を抱え、支払いを済ませた。
「あとは杖だけですか？」
Aは言った。
「そうだな。オリバンダーの店だ。」
スネイプは言った。
オリバンダーの店に着くと、オリバンダー老人が待ってましたとばかりに出迎えた。
「ダンブルドアからお話は聞いてました。さ、こちらへ。」
オリバンダー老人の月のような瞳が、Aの褐色の瞳を捉える。
「杖腕は？」
オリバンダー老人は言った。
「右です。」
Aは答えた。
巻き尺が自動で採寸を始める。
「ダンブルドアから、話を聞いているというのはどういうことで？」
スネイプはオリバンダー老人に聞いた。
「ダンブルドアが、『彼女には魔力とはまた違う力があるように思えるからうまくやってくれ』と。まだ本人もよくわかっていないから、とおっしゃっていました。」
オリバンダー老人は言った。
「魔力以外の力ってなんのことでしょうね？私、そんな力持ってないと思うんですけど。」
Aはオリバンダー老人に言った。
「いや、おそらく何かしらの力を持っているでしょう。あなた様の瞳は他の人とは違う輝きを持つ。一見しただけではわからないしでしょうが。」
オリバンダー老人は言った。
「では、これを。トネリコにユニコーンの尾の毛、28cm。柔軟。」
Aが杖を振ると突風が吹き荒れ、部屋がめちゃくちゃになる。
「違いますなぁ。では、こちらは？桜にドラゴンの心臓の琴線、30cm。」
Aが持った途端、窓ガラスが割れる。
「違いますなぁ。」
そんなことが続くこと数回。
「さすが、ダンブルドアが事前に連絡してきただけのことはある。」
ギラギラと輝くオリバンダー老人の目を見て、Aは「MADだわ……。」と呟いた。
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灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» （続きです）声が一瞬出なくなったのを表現したくて「〜！」の形にしました。読み返して気が変わったら採用するかもです。コメントありがとうございます！ (2017年9月8日 22時) (
レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 同じ番号があるのは、お話が続いているからです。計画性がないがゆえに1話に入りきらなかったんです。誤解を与えて申し訳ないです。円を描いたのは、なんとなくでどうしたらブラックホールを出現させることができるかわかったからです。超感覚として説明してます。 (2017年9月8日 22時) (レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「〜！菊月！」スネイプにユキは手で円を書く。スネイプ先生は円を書けといってないのに、円を書いたのですか？それと、こじんてきにですが、「きっ、菊月！」の方がいいかも！ (2017年9月3日 19時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - #4の表記が二つあります。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
ちあぴー - ここまで緻密なハリポタの物語は初めて読みました。読んでいて本当に楽しかったです。ありがとうございました！ (2017年8月24日 13時) (レス) id: 7643a06046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒 | 作成日時：2017年5月4日 18時
