プロローグ ページ1
場所:日本
時代:21世紀
「暇……。」
一人の少女が、ゴールデンウィークにも関わらず暇を持て余していた。
彼女の名は、菊月A。
華の高校2年生……のはずである。だが、その思考及び嗜好は17歳とは思えないほど老けており、死生観を考えるのが趣味で、好きなおやつはおしゃぶり昆布である。
Aは現在一人暮らしだ。
というのも、菊月家は外交官の家庭で、彼女も15歳までほぼずっと外国に住んでいた。高校進学のためにAだけ日本に帰ってきて、現在に至る。
Aは、友達を作るのが苦手だ。その思考及び嗜好ゆえに、同級生からは疎まれている。それ以外にも理由はあるのだが。
唯一、同級生と話しが合うとすればハリーポッターぐらいだろうか。世界的ベストセラーになったハリーポッターは多くの言語に翻訳された。おかげさまで、どの国に行ってもハリーポッターを知っていれば一人や二人、話し相手は見つかる。……友達まで発展しないが。
ついでに言うと、ハリーポッターには死が多く書かれるため、Aの死生観熟考にも最適なのだ。
というわけで、Aはディープなハリーポッターファンである。本日も暇暇と言いながら、パラパラとページを捲っている始末である。
(なんで、こんなに暇なんだろうね……。)
Aは欠伸をする。
パスポートも持っているし、お金もネットライターとしての仕事で充分稼いでいる。もちろん、両親からの仕送りもある。
国内旅行でも海外旅行でも、行こうと思えば行けるのだ。
旅行に行かなくても、近隣に買い物に出てもいいし、一人のんびり街を散策してもいい。
けれど、Aにはそれをするだけの気力すら残ってなかった。
全てが面倒で、面白くなくて、ずっと虚無感がAには纏わりついていた。
(なんのために生きてるんだろ……。)
自分の代わりになる人間はたくさんいて、だから、自分なんて生きていても生きていなくても同じようなもので。
(なんか、虚しい……。)
空っぽな自分、欲求も希望もない。このめまぐるしく変化していく社会に適応する自信もない。
鬱々とした思考に陥る。
自分を必要としてくれるものなんて何もない。
心にポッカリと空いた穴。
塞いでくれるものは何もない。
数年前から空きっぱなしの心の穴。
もう、塞ぐ手段はない。
意味もなく流れる涙。
床に落ちる。
その涙は黒い渦となり……。
Aを飲み込んだ。
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灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» （続きです）声が一瞬出なくなったのを表現したくて「〜！」の形にしました。読み返して気が変わったら採用するかもです。コメントありがとうございます！ (2017年9月8日 22時) (
レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
灰墨空百(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 同じ番号があるのは、お話が続いているからです。計画性がないがゆえに1話に入りきらなかったんです。誤解を与えて申し訳ないです。円を描いたのは、なんとなくでどうしたらブラックホールを出現させることができるかわかったからです。超感覚として説明してます。 (2017年9月8日 22時) (レス) id: 2f65ae6162 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「〜！菊月！」スネイプにユキは手で円を書く。スネイプ先生は円を書けといってないのに、円を書いたのですか？それと、こじんてきにですが、「きっ、菊月！」の方がいいかも！ (2017年9月3日 19時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - #4の表記が二つあります。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
ちあぴー - ここまで緻密なハリポタの物語は初めて読みました。読んでいて本当に楽しかったです。ありがとうございました！ (2017年8月24日 13時) (レス) id: 7643a06046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒 | 作成日時：2017年5月4日 18時
