Gray.107 ページ7
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ー灰崎side
別に貸して良いと思ってるわけでは無くて。
っつか、そんな事したら間違いなく虹村に殺されるし。
───俺自身としても良い気分では無かった。
なのに何も言わなかったのは、俺の後ろで
俺の服や腕を掴んで怯える様が可愛いとか思ってしまったからで
もう少しだけ見ていたいと思ったのだ。
が、止めておけば良かった。
「ほら、行こう」
「…いや…助け…」
やっと押し出したような震え声はこの状況では屈辱的でしかない、…一番聞きたくない言葉を発した。
殆ど声にもなっていない、空気のような音で確かにAの口は「…虹村、先輩…」…確かにそう動いた。
「───チッ」
瞬間、俺の中の何かがキレる音がした。
……コイツはよりにもよって虹村に助けを求めたのだ。
俺の腕を掴んで、そもそも俺が居るのにも関わらず
目の前の俺よりどんくらいかも分からないくらいに離れたアメリカに居る虹村に。
その事実に無性に腹が立った。
このまま腕を振り払って帰ってやろうかとも思ったけれど
それを寸で留めたのもまた、虹村の存在だった。
だから殺されたくねぇっつの。
俺は胸中でため息をついてから
Aの方を振り向き、その際に俺から離れた手を掴んだ。
見開かれた彼女の瞳には涙が滲んでいる。
まるで硬直したように半開きの口からは言葉を発する事も出来ないようだった。
「言っておくけど。コイツに手なんて出したら彼氏に殺されるぞ」
「あ?そんなんボコり返せば…」
「はァ?お前、前に俺にタイマンで負けたよなァ?
…その俺がボコボコにされるような奴だぞ、お前なんて余裕で半殺し。止めとけ」
そこからは言い逃げだった。
ブーイングの声が聞こえたけれどガン無視。
Aの手を引いて寮まで歩いた。
言った事に後悔はない。
が、一つだけあるとすれば
喧嘩で虹村に勝てないと口で言った事。
口で言えばとうとう頭でも俺は虹村には叶わないと理解してしまう。
それはつまり、認めてしまったという事だった。
中学の時ならば意地でもアイツより弱いなんてプライドが許さなくて、認めたく無かったはずなのに。
人の為に、プライドを捨てる事が出来る事を、俺は初めて知った。
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ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ!!作者はテメェの道具じゃねぇんだよ!!テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば?マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ!二度とリクすんな!占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月26日 1時