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Gray.148 ページ48

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ー灰崎side



「とりあえずは良かったかな…って言ってもまた振り出しだけど」



スポドリやタオルを配り終えたAが俺に近づきながら、言った。
笑みの中に少しだけ不安が覗く表情。

その不安げな部分だけはコートで一瞬だけ見た表情と似ていた。



「お前、俺が負けるとか思うなよ。有り得ねぇから」


「当たり前だろう」



それはAに言った言葉だったけれど、答えたのはAでは無かった。

振り向くAの視線の先には片手はタオルで頭を拭きもう片手はドリンクを持つ望月の姿。
…ああ、やっぱそこも汗かくんだなと思いつつそれは口に出さないでおく。



「まさか石田先輩の言葉を忘れた訳じゃないだろうな。
負けたらお前どうなるか…」


「うげ…」



勿論、負けたら椅子に拘束してタコ殴りの刑を忘れた訳では無い。
一瞬だけ頭から抜けただけで。

…思い出しちまったらこれはますます負ける訳にはいかない。

こんな所で負けたらマジで殺される。



「まぁ、灰崎がそう簡単に負ける事はないだろうから
お前も不安そうな顔ばっかコートに向けてないで応援とか頼むよ。…な?」



慰めるような言葉の後に茶化すようにAの頭にスポドリを乗せ「ふ、乗った」と望月は笑った。

それを頭から取り望月を見上げて、Aも擽ったそうに笑った。



「ふふ、もう。遊ばないでくださいよ。…応援してます!」



学年が一つ上だから、とかそんな理由だけじゃないんだろう、コイツがキャプテンに選ばれたのは。

選手だけじゃなく周りもマネージャーも見てて
どうやったらこの場の空気が軽くなるか、それを分かっていて

そして行動を取れるから


そういう所もキャプテンとして選ばれた理由の一つなんだろう。



「さて、そろそろインターバルも終わるな。戻るぞ。」



チームメイトにそう呼びかけ、そして俺もその言葉にコートに戻ろうと歩き出す。

その道中、俺を通り過ぎる寸前にボソッと呟いてきた。



「インターバル中、青峰がお前を見ていた。
…何か策があるのかもしれない。油断するなよ」



ダイキが俺を見ていたのには俺は気づけなかった。
コイツは、会話をしながらダイキの方も見ていたのか。

本当に周りをよく見ているワケだ。



「…おう」



返事をして、俺はコートの自分の位置に立つ。
たった二分でも休めるらしい。

ゆっくり深呼吸をして頭と身体を冷ましてから体勢に入る。



「よう、灰崎」



目の前に立つのはやはりダイキだった。

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ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ!!作者はテメェの道具じゃねぇんだよ!!テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば?マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ!二度とリクすんな!占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月26日 1時

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