Gray.135 ページ35
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散々急所だの何だのと恐ろしい会話の後に『あのさ』と虹村の声が急に大人しくなり話が切り替わった。
Aが「はい?どうかしました?」と返事をすると虹村はらしくもなく不安げな声を出した。
『灰崎から…マスク越しとはいえキスとか聞いた時
一瞬だけお前が灰崎を好きになって奪われるって想像をしちまってさ』
「えぇ?」
いや、その鼻で笑うような「えぇ?」めっちゃ腹立つんだけど。
何も言われてないのに何か凄ェ馬鹿にされた気分なんだけど。
『…いや、否定してくんね?』
「…虹村先輩以外を好きになる気も付き合う気も、無いですよ」
けれど、先程までの腹立つ言い方とは裏腹に、Aは確かに否定した。
静かに落ち着いた声で否定した後に──俺の方を見た。
一瞬じゃない。
目を細めて、じっと見つめてくるから思わず石にされたみたいに体が動かなくなった。
「けど、灰崎くんにキスされた時に私も一瞬だけ想像してしまったんです。
奪われるって、こういう事なんだって。
想像出来てしまって、罪悪感で泣きながらずっと謝っていたんです。」
そしてAは一度だけ間を置いてから「ごめんなさい、虹村先輩」と謝った。
Aの目線が外れて呪いが解かれたかのように動けるようになってから俺は冷めたお粥をかき込んだ。
『その言葉が聞けたから、良いよ』とかいう虹村の言葉から先の会話は聞いてない。
食べ終わる頃には電話は終わっていて
Aはスッキリしたような顔をしていた。
「良かった。虹村先輩に嫌われなくて」
わざとらしく報告してくるAに「そんな誰得の報告いんねーよ」と返すと彼女はその言葉を無視して殻になったお椀やらスプーンを手に取って立ち上がった。
「洗い物してくるね」
「…」
「…あ、泊まってく?病院戻る?」
「は?」
いや、いきなり何言ってんの。
さっきは食って話し終わったら帰れっつってたのに
と思いつつ後の事を考えると戻ってもいいが、戻った後にどんだけの説教を食らうか考えると戻る気が失せた。
けれど泊まるとなると…何もしない保証がない。
「…泊まる」
いや何でだ。今自分で何もしない保証がないって分かってたろ何でだ俺。
本当に俺のこういう「あわよくば」思考は治らないわけで。
「分かった」
っつーか何でお前も了承して台所に行っちゃってんだよ。
何も起こらない訳が無い事くらいちょっと考えりゃ分かんだろ。
「…止めろよ」
ワガママか俺は。
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ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ!!作者はテメェの道具じゃねぇんだよ!!テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば?マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ!二度とリクすんな!占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月26日 1時