Gray.132 ページ32
.
そうか、…そうだよな。───虹村の目も俺と同じ灰色だったよな。
一瞬だけ揺らいで、俺を見てくれたと本気で思っていたのに。
俺の告白に揺らいだわけでもなんでもなくて
「…ご、めん…なさい…」
泣きそうな顔で、怯えた顔で彼女が謝る。
俺が求めていたのは、そんな顔でも言葉でもなくて
俺は、落ちた袋を拾って彼女に差し出すと言った。
「…とにかく、熱とかじゃなくてマジだから。
病室での事も許してくれとか言わないけど
別に許してくれなくたって良いから、だから」
考えなんてまとまらないまま喋って、そして『許してくれたフリでもいいから、いつも通りにしてくれ』なんて事を言おうとして
──ぐぅうう…っとお腹が鳴った。
「…ぁ」
小さな声を出したAが自らのお腹を押さえて顔を真っ赤に染めた。
俺を睨むように見上げる瞳には涙が滲んでいた。
かと思うと、ずっと差し出したままだったコンビニの袋をAが勢いよく俺から奪う。
「…話は食べ終わってからでも良いでしょうか」
「…は、はい」
何で敬語。釣られて俺も敬語になってしまった。
流れのままに歩き出すAの後ろをついて行くと
辿り着いたのは一つの部屋だった。
Aが鍵を開けて扉を開くと電気は付けっぱなしで
待ちきれないとばかりに先に中に入ったAの脱がれた靴が玄関先で揃えられてなく捨てられたような状態な事に意外だと思い少しだけ笑いそうになってしまった。
意外と子供っぽいとこ、あるんだな。
後に入った俺が流れで玄関の鍵を閉めて靴を脱ぐと彼女の部屋に入室する。
そう言えば、手当された時以来か。部屋に入るのは。
部屋の奥に行ってみると中はあの時と大きな変化は感じられなかった。
テーブルにおにぎりや唐揚げや飲み物を広げるAの隣に座ると
彼女はニコニコと笑いながらおにぎりの包装を解いて、大口でパクついた。
よっぽどお腹がすいてたのか、めちゃくちゃ美味しそうに食べてやがる。
おにぎりを食べ終えて、唐揚げを開いた時に美味しそうな匂いが漂って
付属の爪楊枝で刺した唐揚げを一個一個ゆっくりと食べるのを見せつけられるって言う拷問を俺は受けている。
何でコイツ唐揚げをチョイスした。
病院食って腹膨れねぇんだよ腹減った。
「…唐揚げを睨まないでくれない?」
流石に俺の目線に気付いたらしいAが食べるのを中断し、飲み物を開けながらそう言った。
82人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ!!作者はテメェの道具じゃねぇんだよ!!テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば?マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ!二度とリクすんな!占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月26日 1時