Gray.129 ページ29
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話し終わって、怒鳴られると思って少しだけスマホを耳から離して目を瞑る。
何を言われてもいい覚悟で虹村の言葉を待つ。
けれど、数秒の間の後に虹村から発せられたのは落ち着いた声だった。
『…そうか。』
そして、続けて「青峰の技、奪ったのか。良くやったな。」と言うとまた無言の時間が走る。
思わぬ言葉と落ち着いた声に俺は拍子抜けして口から零れ落ちるように問い掛けていた。
「…怒ってねぇの?」
『怒ってるに決まってんだろ、目の前に居たらぶん殴ってるわアホ』
即答された言葉には静かな殺意が込められていて、けれどその殺意は『でも』と続けられた途端に消え去った。
落ち着いていて悲しそうな声で虹村は続ける。
『ただ、熱に絆されただけじゃないんだろ?』
多分、虹村は大分早い段階で分かっていたのかもしれない。
キセキの世代を従えていただけはある。
実は赤司より未来を見据えていて、しっかりしてんじゃねぇかとすら思う。
だから、そんな虹村の声に、俺も素直に答えてしまった。
「俺、多分Aが、…好き、だと思う。
最初は彼氏持ちだって聞いて奪ってやるとか思ってたけど
誰より俺を、俺のバスケを分かってくれて俺から離れないでいてくれて
"俺"を、見てくれた女はAだけだったから」
『…ん。下心だけじゃねェみたいだから殴るのは免除してやる。
が、それとこれとは話が別だ。
許しはしねェが…今のお前の言葉を見越してお前に頼みがある。
俺はAが心配だ。電話した後から忙しくてそのまま今寝てるだけかもしれねぇけど
全く電話に出ないなんて事、今までに無かったから。』
虹村の言わんとする事は分かった。
確かに悪いのは俺だし、…多分、このままだったら俺はAに嫌われたままだ。
それは何としても避けたい。
『今から病院抜け出してAの様子を見てこい。』
「俺、病人。熱あんのに」
『そういうこと言えんなら元気だよ。』
「じゃあ、後で報告しろよ」と言うと虹村は電話を切った。
そんなに長く電話していた気はしていなかったが電話には22:56と表示されていて二十分も電話してたかと思いスマホの時間を見ると時刻は三時半過ぎだった。
俺はベッドから起きて腕に繋がれていた点滴を外すと着替えて病室の扉、ではなく窓を見た。
三階、ってのは思ってるほど高くねぇんだな。
俺は着替えと一緒に入っていた靴を履くと窓枠に脚を掛け
────三階から勢いよく飛び下りた。
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ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» てめぇも灰崎も◯ね、カッコよくねぇわあんな奴。キセキバカにすんなよ。クソバカ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - こんな奴が叩かれないのが私は本当にムカつく (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 何がリク主の特権だよ!!作者はテメェの道具じゃねぇんだよ!!テメェにリクする資格とかねぇわそんなに見たけりゃ自分で書けば?マリイミリイキモい◯ねウザい自分の意見を押し通すな。迷惑考えろ!二度とリクすんな!占ツクやめろ、ネットやめろ (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» キャラに様つける奴キモいし、ウザい。氏ね (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴキブリと化した灰崎 - ミリイ(灰崎信者)さん» 吐き気するなら見るなよwwwバカ発言多くて草 (2020年4月1日 21時) (レス) id: 5f9510aad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:由麻 | 作成日時:2018年12月26日 1時