【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】3

Gray.128 ページ28

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ー灰崎side



消毒液のような匂いが漂う病室。
朝方に俺の睡眠を遮ったのは枕元に置かれたスマホのバイブ音だった。

一度や二度じゃない。

何度も何度も着信が響いていた事に気付いていたのは
言うほど俺も深い眠りにはつけていなかったからだ。


眠りとも言えないくらい浅い眠りにいい加減目も冴えてきてバイブ音が止まったところでやっとスマホを手に取りロックを解く。



着信履歴 13件
虹村
虹村
虹村
虹村
虹村etc…



───え、怖ッ。


何だコイツ、メンヘラな彼女か。
どんだけ電話してきてんだ、っつか今朝方三時なんだけど

…正直、電話の理由は理解出来てるが。



「……」



死ぬよなぁ。殺されるよなぁ。
体調崩しててマスク越しとはいえやらかしちまったもんなぁ。

着信ボタンをタッチするのを躊躇ってじっと凝視する。


まるで痺れを切らしたように、画面が切り替わりまたバイブ音が響く。


画面には言うまでもなく虹村の文字が映り、電話に出なきゃ永遠と掛けられそうな気がしたので出る事にした。

……それでも数秒だけ。

数秒の間を置いてから俺はやっと緑の応答ボタンをタッチした。



「…もしも」


『何で出ねぇんだよ、何度も電話してんだろ。俺が電話したらすぐ出ろやオイ』



え、怖ッ。何このメンヘラヤンキー怖ッ。
っつか夜中の三時だぞ、寝てると思えよ普通に。
…って言うのを至極丁寧に俺は伝えてみる事にした。



「…こっち午前三時って分かってます?」


『知るか、こっちは昼一時なんだよ』


「オウボウすぎんだろ!!」


『っつか、んな事はどうでも良いんだよ。』



虹村は一瞬の間の後に「Aが電話に出ない」と落ち着いた声で言ってきた。
…いや、だから午前三時なんで寝てんじゃないっすかね。

そう伝えると虹村は少しだけ声に怒りを滲ませて言った。



『夜…あっちに取っちゃ昼だな。…に電話来てたみたいで俺は普通に寝てて朝起きてから掛け直してんだけど
何度掛け直してもずっと出ねぇんだよ。
……お前、何か知らねーかよ、灰崎』



まるで知ってるみたいな聞き方。
多分、というか確実に俺のせいなんだろう。

…俺にもセキニンはあるわけだ。



「…俺、ダイキの技奪ったんだけどよ」


『あ?』


「その為に練習しすぎて体調崩して今病院で」


『……』



話し始めるのを虹村は黙って聞いてくれていたので俺は続けて話した。
A達が見舞いに来て、熱に絆されて



マスク越しとは言え、キスをしてしまった事。

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