【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】3

Gray.116 ページ16

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ー貴女side



「──灰崎くん。凄く楽しそう」



けれど、対照的に桜井くんは今にも泣きそうな表情をしていた。
…時間を費やして習得した技やスタイルを一瞬で奪われる。

それは、無慈悲で残酷だと言われるだろうか。


けれど本当に一瞬で奪えるわけでは無い。
確かに奪う時は一瞬で、相手から見れば時間を費やした物を奪われるという事なのだろう。


けれど灰崎くんはその一瞬の為に沢山練習を積み重ねてきた。


奪う瞬間は一瞬でもそれは長い期間を費やした故の一瞬なのだ。



それがどれだけ凄い事か、コートの外から見ているだけでも理解出来た。



だからこそ私は無慈悲とも残酷とも思わない。




────青峰くんの雰囲気が変わったのを感じた。



…決して青峰くんや桃井さんが灰崎くんの事を伝えなかった訳では無いのだろう。


ただ、ここについての敗因があるとすれば
この短期間でここまで成長している事を予測できてなかった事と
少しだけ灰崎くんをナメていた事。

それは青峰くんの態度と桃井さんの見開かれた大きな瞳を見て理解出来た。


二人とも本当に予想外だったのだろう。




───それからの第一Qは青峰くんと灰崎くんはお互いのマークを
他の桐皇メンバーは攻めあぐね、灰崎くんを気にしてパスも上手くできず

ただ、ボール廻しをしていた。

それも福田総合にはボールの渡らないルートを的確に選んだボール回しをしてきた。



そのおかげで第一Qは初っ端のお互いのスリーポイントから進展は無かった。

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