女装は男の特権だ

ふぉお ページ5

ほら、アレだよ、今流行りの呪いの刀剣。

たまに聞くだろう？勝手に受け取り箱にいたとか、いつの間にかレベルが上がってたりとか。

しかしまぁ、主と私の元担当は乾いた笑い声ではは、ははははと笑うだけで話が全く進まない。

『全く、いつまでへこむんだい。因みに言っておくけれど、私は帰る気も無いし変える気も無いよ』
「ちょっと上手いなって思ったけどそうでもないって気付いちゃったよ俺」
「ですね。私も謎布さんがこんな人…刀とは思って無かったです。訴えたら勝てます？」
『敗けるだろう』
「多分いけますよ、あっ、でもその場合俺が訴えられるのかワッハッハッ」

いい年した大人二人で大笑いしながら話してるとか端から見ると酔っ払いにしか見えないし、正直今すぐ偽物君の所に行って襲えと私の中のビーストが暴れてる。

しかしまぁ、そんなに悲観することかな？
こんな美少女が男だらけでむさ過ぎる本丸を歩いているだけでかなりの癒しと潤いを与える事が出来るし美少女が刀を持って敵を殺すだけでかなりの層にギュンと来る物があると思うんだけれど……

なんて考えていると突然障子が空き、美しい秋の景趣の溢れんばかりの紅葉が目に飛び込んで来る。

やっぱり何度見ても美しいと思いながら障子を開け放った人物を見て、口を衝いて出そうになった悪態を何とか呑み込み、静かに歩いてその人物へと近付く。

『やぁ、偽物君。君はマナーも知らないのかな？』
「ここでは俺がマナーでありルールであり規則であり約束であり常識であり支配者だ」

なんだコイツ。

えっ、政府からの事前情報では初期刀は加州清光で初鍛刀は薬研籐四郎で山姥切は他の堀川派よりも遅く来ていて、三日月より前じゃなかったか？

つまりはかなり本丸運営が軌道に乗り始めた頃に来た古参の様で古参じゃない勢ではないかな？
それがどうしてこんな『俺こそが初期刀』なんて言いたげな顔をして湯呑み三つとお茶請けを持って堂々と本丸は俺の物とも受け取れる言葉を放っているんだ！？

ふぁいぶ→←すりぃ

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