廃妃された皇女様 2nd season (ページ49)

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第7章エピソード15 ページ49

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私はリチャードがどこにいるのか分からないまま、リチャードを必死に探していた。

(ごめん、ごめんなさい…。リチャード…！)

どこに行ってしまったの！

馬車の所も見に行ったが、リチャードはいなかった。

「リチャード…お願い、私の元から消えないで…。」

私が神殿の外で小さく呟くと、後ろから誰かに抱きしめられた。

(っ…！)

「リゼ…今の言葉に嘘偽りはないか…。」

この声…。

私が後ろを振り向くと、リチャードが涙を流しながら私にそう問いかけた。

「嘘じゃないよ…。よかった…リチャードだ…。」

私はリチャードの顔を見て安心したのか、涙がポロポロと流れた。

そして、私がリチャードを抱きしめると、彼も私を強く抱きしめた。

「…ごめんなさい、リチャード。私、ずっと間違ってた。人を愛するあまり、周りのことを見えなくなりまた捨てられるんじゃないかとずっと不安だったの。」
「そうか…。」
「私は…リチャードのことが好きだよ。」

私がそう言うと、リチャードが私にキスをした。

それは、私にとっての初めてだった。

(…このまま、時間が止まればいいのに。)

そう願った瞬間、私の身体は祈願化していくのを感じた。

「リゼ…！」

彼が私の名前を呼び、私のことを心配してくれてる…。

(…最期に、愛する人に愛されて良かった。)

「大変です…！聖女様！神子様！」

そう言って、神官5人が私とコレットの元へと来た。

「…？何がどうしたのですか？」
「それが…！祈りの歌人様が…祈願の歌人になってしまわれました…！」
「っ…！！どういう…こと？」
「ウィンドル王子殿下が、祈願化した歌人様を連れて参られたので…。今、大神官様と神子ゼロス様に診てもらっていますが…。それともうひとつ…。」
「…リゼが、祈願の歌人に…？」

…どういうこと？

だって、あの神話には影の女神について書かれていたんじゃ！

「…話を続けてください。」
「もうひとつの報告なのですが…。影と陽の女神に選ばれし子の神話の書物に、間違えて訳したと思われる箇所がありました…。」
「っ…！！」

(間違えて訳された、神話の書物…。木岩化したリゼ…。)

私が…あの時あんなことを言わなければ…！

「私の…せいだ。」
「メイリ、落ち着いてくれ…！まだ話が終わった訳じゃ…！」

『私たちの願いが叶いましたね、ルアール。』

陽の女神の声…そして、陽影の神…。

二人の少女の運命の歯車が、このまま戻されていくのか…。

これは、影の女神にしか知らないことだった。