第7章 エピソード11 ページ45
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私の頭に語りかける声が徐々に薄れていくと、神殿からパァっと眩しい光が包み込んだ。
そして、神殿の外からでも聞こえるメイリの声。
それとは逆に私の身体は闇に覆われている。
次の瞬間、メイリは聖なる祈りを発動した。
「神よ、私の祈りを聞きなさい。影の女神に選ばれし子をこの世から排除しなさ──」
(っ…！！体が動かない…！まるで石化してるみたい…。)
これ以上私を苦しめないで、お願いだから…！
『メルーナ様の好きにはさせないんだから！』
『黙りなさい、あなたの愛しの王子様が待っているのよ？』
(この声…メイリとさっき聞こえた声…！)
すると、私を覆っていた闇の光がメイリの聖なる祈りによってかき消された。
「やめなさい！私の祈りをあなただけの私利私欲のために使わないで！」
神殿の外に届いたこの声は、メイリと先程の声の主との葛藤の末に出た言葉だった。
そして、私の元へ駆けつけるリチャードと、急いで中へ入る大神官様たち。
神子であるコレットが私を見て涙を流していた。
「…コレット？」
「良かった…。リゼが無事で…。あのままメイリが…ううん、陽の女神様があなたを排除しようと祈りに捧げていたら大変なことになってた。」
「…！陽の…女神が？」
「どういうことだい？あの祈り自体、メイリが…。」
「ううん、あの祈りはメイリじゃない。私…闇に覆われている時、メイリと謎の声が言い争いしているのを聞こえたの。コレットが言うに、祈りを捧げようとしたのが陽の女神で、それを止めたのがメイリ…そういうことでしょう？」
「うん、神子である私とゼロスはね、お告げの声が普段聞こえない代わりに、陽の女神と影の女神の両方の声を聞くことができるの。これは神殿内でもあまり知られてないことなんだけど…。」
コレットが言うに、この世界の主神であるルアールは大神官にしか聞こえないお告げの声を聞くことができる。
神子はごく稀に主神のお告げの声が聞くことができ、大神官の代わりに陽の女神と影の女神の両方の声を聞く事が出来るらしい。
コレット曰く、このことは神殿内でも導師や大神官、それと極わずかが知ることができるらしい。
「大丈夫なの？そんなこと教えて…。」
「ううん、本当はリゼにだけなら教えていいんだけど、リチャードが聞いてはダメだった。けど、リゼはリチャードの事信用してるみたいだから、リチャードにならいいかなって思っただけだよ。」
…私がリチャードを信用している…か。
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
