第7章 エピソード5 ページ39
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「僕、情けないな…。リゼに心配かけて…。挙句には皆にまで…。」
「そんな事ない…私が悪いの。人が集まってる時にあんな事言ったから。」
「せめて…君が告白してくれた時に好きになっていれば…こんなことにはならなかったかもしれないね。」
(違う…。あの時、私があんな形で告白してなければ…。)
こんなにも苦しみ、後悔をしてるリチャードに何も出来ず、応えることもできない。
そんなの…最低だ。
リチャードは私から離れ、少し間を置いたあと行こうかと言って私室へ向かった。
「リゼとリチャード、あんな風になってたんだ…。」
「でも、リゼは二度も愛によって裏切られて死 刑に追い詰められてたの。私たちのせいということもあって、言葉が見つからなかったわ…。」
「にしても、今度はリチャードがリゼを好きになるなんて…。どうしてこうもタイミングが合わなかったんだろう。」
私がそう言うと、メイリが言いづらそうに口に出した。
「私の…せいかもしれない。」
「メイリのせい？」
「だって、私が陽の女神に選ばれし子なんでしょう？影の女神に選ばれし子であるリゼがこんなことになるのも、私のせいでこんなことになったとしか思えない。やっぱり、早く世界樹に行かないと。」
リゼとメイリ…。
二人のためにも、私が記憶を読んでなにか出来たらいいんだけど…。
影の女神に選ばれし子、陽の女神に選ばれし子の記憶を読めるルベルク姉弟、リリアン様とディラン様に頼みたい…。
けど…。
チラッと二人のことを見てみる。
(二人は私を避けている…。どうしたらいいの…。)
ルベルク子爵は、根っからの貴族の考えをした人だった。
平民と親しくし、品位を落すなんてことはできない。
そんな考え方をして、平民と仲良くしてはいけないと教えられ、平民出身の私とは仲良くして貰えなかった。
そんな訳で、仲良くなれず距離を置かれ、記憶の子の関係上では対等に接しているが、それ以外は話しかけられもしない。
そんなこんなで、私は二人を怖がっていた。
それをリゼに相談してはいたが…。
ううん、これはリゼのため。
それなら、こんなことで怖がって助けないのはおかしい。
私は意を決して、皆の前でルベルク姉弟に話しかけた。
「あの…ディラン様、リリアン様。どうか、リゼのために影の女神、陽の女神についての記憶を読んでくれませんか…。私の頼みだから、受け入れて貰えないかもしれませんが…お願いです…！私、リゼを助けたいんです！」
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作者名：有栖茶 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月15日 11時
