君の目線の先には【西谷夕】

♯１３ ページ14

───────私なら…




“私なら諦めるよ”


そう言ってしまいそうになる



そう答えたらきっと西谷は清水先輩のことを諦める努力をする
西谷はそういう奴だ






そしたら少しでも私の勝ち目が見えてくるのかもしれない
私の想いに応えてくれるかもしれない



そんなずるい考えが頭の中でぐるぐると回っている




.





｢───────私なら諦めないよ｣





でも、好きな人に好きな人が居ても諦められない気持ちがあることを私は知っている





｢だって西谷はその人のこと好きなんでしょ？諦めようとしてもそんなの諦められないよ｣




西｢そうなのかな｣





｢好きな人に好きな人が居ても諦められない気持ちは私もよく分かるから｣




『好きな人が幸せならそれでいい』

漫画やドラマでよく言うけど私はそんなできた人間じゃない、私のそばにいてほしいと思ってしまう




西｢え？｣




だからごめんね西谷。私はずるい人間です





｢私、西谷のことが好き｣




西｢？！えっと…｣



目の前にあるのは困った顔
そりゃそうだよね




｢マネージャーになる前からずっと好きだった。今言って困らせるのは分かってる、好きな人がいるのも分かってる。その人の代わりでいいから私と付き合ってくれないかな｣




───────清水先輩の代わりでいい
西谷のそばに居られるなら





西｢代わりでいいってそんなことできるわけ…｣





私が困らせてる、それを分かってても止まらない




｢私なんかじゃ清水先輩に適わないって分かってるよ。でも、無理して笑う西谷は見たくない｣




西｢なんで知って…｣




｢たまたま見ちゃったの｣




西｢そっか｣



西｢ありがとう、お前の気持ちは嬉しい。でもごめん、代わりに付き合うなんてそんな失礼なことできない｣




やっぱり無理か
でも西谷らしい返事だね



こうなったら私のすることはただひとつ




｢ごめんね、こんな急に…迷惑だった？｣




西｢迷惑なんてことない。気持ちには応えられないけど嬉しかった！｣



.






｢…なーんてね！w｣



西｢は？！｣



｢私が西谷のこと好きなんてあるわけないじゃん、そりゃ、友達としては好きだけど！｣



西｢お前なぁ…言っていい冗談と悪い冗談が…｣



｢でも、これで分かったでしょ？西谷の気持ちを清水先輩は迷惑になんて思わないよ。だから頑張れ｣




決めた


───────付き合えないなら私は西谷の前では自分の気持ちに嘘をつく

♯１４→←♯１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す