政略結婚【降谷零】 ページ32
そもそも、零さんはなんでも一人でやってしまう人だ。今まで誰にも頼らずこなしてきたせいだろう、私が少し体調を崩した時も“具合が悪いまま家事をして後が大変になった方が面倒だ。”と言って料理、洗濯、掃除など全て一人でやってくれた。
…しかも料理に至っては私よりも格段に美味しいのだから少し悲しくなった。
__零さんは、私がいなくても一人でやっていける。むしろ、私の存在の方が邪魔なのでは……？
そう考えるとすごく悲しくなってきて、寝室に駆け込み、ぼふっと枕に顔をうずめた。
『やっぱり離婚、した方が、零さんは楽、なのかなぁ』
ぽろぽろと溢れる涙を強引に拭って、零さんに貰った離婚届をぼーっと眺めていた。
___そのままの状態で、どのくらいの時間が経ったのだろう。
気づくと零さんが部屋に入ってきていた。
『っ、あ、れ、零さ…』
｢…離婚届……？…あぁ、好きな人が出来たのか？今まで縛り付けて悪いな、今書いてくれれば仕事に行くついでに出してくるが？｣
あぁ、やっぱり。零さんにとってはそんな価値しかなかったんだね。
『…ううん、ごめんなさい。』
｢いや、君が謝ることではないさ。｣
もう、いいや。最後にするから、だから、伝えさせて。
『…好きになって、ごめんなさい。』
｢いや、だからそれは君のせいじゃ…｣
『ううん、零さんは勘違いしてる。…私が好きなのは、零さんだよ。……零さんの、日本に対する想いに、仕事に打ち込む姿に、その背中に、声に、大きな手に、っ、どうしようもなく、惹かれてしまったの…！！！…っ、だから少しでも、貴方の支えになりたかった。……でもごめんなさい。私なんかが支えになんてなれる訳がなかった。むしろ邪魔だったよね、鬱陶しかったよね、…ごめんね。本当にごめんなさい。いいよ、零さんは忙しいだろうからこれは私が書いて出してくるね。』
零さんはその綺麗な蒼眼をただただ大きく見開いていた。
『ごめんなさい、一時の幸せをありがとう。行ってらっしゃい零さん。……さようなら。』
｢っ、待て、頼む待ってくれ、｣
ぐ、っと離婚届と財布を握りしめて玄関へと向かった私を零さんが追いかけてきた。
『大丈夫、零さんのことを誰かに言うつもりはありません。信用出来ないなら何でもしてください。父には私から上手く言っておきます。お世話になりました、降谷さん。』
｢ｯA！！！！！！！｣
『っ、』
今まで、名前なんて呼んでくれなかった癖に。なんて狡い人。
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暁(プロフ) - こんばんは。楽しく読ませてもらいました。地味子さんの続きが気になります。美人さんになってそれから？降谷さんとの絡みがあればなぁって思ってしまいます (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 0ef78b01fb (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - にわなずなさん» ご指摘ありがとうございます！遅くなってすみませんが直しておきました！！ (2019年3月8日 7時) (レス) id: 3701a0a282 (このIDを非表示/違反報告)
にわなずな(プロフ) - ナンパの最後 再開ではなく再会ですよ (2019年1月1日 14時) (レス) id: 895a4f49cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：響 | 作成日時：2018年8月28日 21時
