面影【降谷零】 ページ19
『…もしもし、降谷？』
｢…どうした。｣
『…ｯ、ごめん。ほんと、ごめん。…大好きだよ、バイバイ。』
｢は、？！、っ、ちょ、おい！春野！春野！！！！｣
___ﾌﾞﾁｯ
電話に向かって叫ぶ俺。だがそれも虚しく通話は切られてしまった。慌ててかけ直そうにも繋がってくれない。
…ごめん、ってどういうことだよ。
バイバイってなんだ。
なんで最後に想いを伝えて切った。
俺の返事はどうなるんだ。ふざけるな。
内心の焦りを落ちつけるためにぐ、っと拳に力を入れた時だった。
着信音がなり、春野だと思って勢いよく出た。
｢あら、今日は随分と出るのが早いのね、bourbon｣
かけてきたのは春野ではなくベルモットだった。
｢あぁ、いえ、ちょうど手に取った時でしたので…｣
｢ふぅん…まぁいいわ。…あぁ、そう、言いたいことがあったのよ。
…オーロラが鼠だとバレてジンに始末されたわ。
じゃ、貴方も気を付けるのよ。｣
__ﾄﾞｸﾝ、と心臓が嫌な音をたてた。
｢いやですね、僕は鼠でも何でもないので気をつけることもありませんよ。｣
｢あらそう。面白くないわね、それじゃあBye｣
そう言ってベルモットとの通話は切れた。
…オーロラ、それは俺と同じゼロ所属で組織に潜入捜査していた｢春野 A｣、…さっき電話をかけてきた本人だ。
｢は、るの、が……ﾀﾋ、んだ…？｣
…春野、お前まで、俺を置いていったのか…？
【大丈夫よ、降谷。私はﾀﾋなない。降谷を置いていかないわ。だから降谷も何があっても帰ってきて。約束よ？】
いつの日か、そう言って笑った春野の顔が思い出された。
俺は、そんな春野が好きで。
でも二人共ゼロ、ということでなかなか伝えられずにいたこの想い。
…約束、じゃなかったのか。
ごめん、じゃない。俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃない。
好きなら、離れないでくれ。
なんで、最後に好きなんて言ったんだ、馬鹿。
｢ｯ、くそっ！！｣
ダン、と強く握りしめた拳をコンクリートの壁に打ち付けた。
｢…A……ｯ。｣
初めて名前で呼んだのが本人のいない所なんて、かなり情けないがそんなことも気にならないくらい俺はただただ涙を流した。
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暁(プロフ) - こんばんは。楽しく読ませてもらいました。地味子さんの続きが気になります。美人さんになってそれから？降谷さんとの絡みがあればなぁって思ってしまいます (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 0ef78b01fb (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - にわなずなさん» ご指摘ありがとうございます！遅くなってすみませんが直しておきました！！ (2019年3月8日 7時) (レス) id: 3701a0a282 (このIDを非表示/違反報告)
にわなずな(プロフ) - ナンパの最後 再開ではなく再会ですよ (2019年1月1日 14時) (レス) id: 895a4f49cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：響 | 作成日時：2018年8月28日 21時
