Prolog ~名探偵コナン~

浮気【赤井秀一】 ページ25

『ねぇ、秀一』

｢…なんだ。｣

『……んー、やっぱなんでもなーい』

｢ﾌｯ…最近そればっかりじゃないか、どうした｣

少しだけ微笑んでくれる彼がすごくかっこよくて、輝いて見えた。

そんな彼と私は付き合ってそろそろ一年が経とうとしている。

『…はぁ、』

｢…本当にどうしたんだ、最近元気がないぞ？何かあったか？｣

『…ねぇ秀一、好き、』

｢ｯ、どうした急に。……俺も好きだ、｣

そう言いながらそっと抱きしめてくれる秀一。

ほんのりと赤い頬をみて、彼はまだ私を好いていてくれるのかもしれない、という馬鹿な期待を抱く。

でも、私は近々別れを告げる予定だ。

…何故、って、それは彼の浮気現場をみてしまったから。

すごく、可愛い、おしとやかそうな女の人と楽しそうにあるっている現場を見てしまった。

あの時は頭が真っ白になって、ぐっと奥歯を噛み締めて家まで走った記憶がある。

__ねぇ秀一、あの女の人、誰？

___私に、飽きちゃった？

____別れよう。

どの言葉も私は寸前で飲み込んでしまう。

だって、好きで好きでたまらない秀一に自ら別れを告げるなんて出来ない。

いっその事、好きな女ができたって突き放してくれればいいのに、秀一はそれをしてくれない。

なんて残酷な人。


｢…A？｣

『なぁに？』

｢…最近、俺に…隠してること、ないか？｣

少しだけ、気まずそうに言った秀一。

何言ってるの、隠してるのはそっちでしょ。

私、知ってるよ。優しい笑みを浮かべながら女の人とあるってたの。

それとも、いつまでも気づかない馬鹿な女だと思ってる？


『ねぇ、秀一、私たち、別れよっか。』


__あぁ、ついに言ってしまった。もう、後には引けない。


｢………は、？｣

『っ、ごめ、ばいばい、』

ぽろぽろと溢れる涙を乱雑に拭って私は家から飛び出した。

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