盤上の唄(第一話) ページ3
レオside
おれがあの時『チェス』と出会ってなければおれはアイドルを目指そうとしなかった。
そのくらい、『チェス』はかっこいいユニットだった。人数は少なかったけど、寸分の狂いもない統一されたダンス。気高い歌声。心を掴んで離さないパフォーマンス。
「『チェス』には王さまがいたんだ。それがまたかっこよくてさ〜!」
でも、おれが入学した時には『チェス』は『バックギャモン』になっていた。
『バックギャモン』はアイドルだけど、アイドルじゃなかった。
ここにはたくさんの人がいた。不良、おもしろいやつ、セナ…みんなおれに「曲をつくって!レオが作った歌じゃないとダメなんだ」って言っていた。
だから、おれは曲をつくった。みんなに喜んで欲しかったから。おれもみんなが大好きだったから。
でも、違った。
みんなが好きなのは「月永レオが作った歌」ではあって「月永レオ」じゃない。おれは最初からいらなかった。おれが作った歌さえあればそれで良かったんだ。
でもおれを素直じゃないけど――
大好きだよって言ってくれた人もいた。
セナはおれのためにボロボロになってしまった。
ずっと2人で戦っていた。
昨日まで仲間だったやつ、1分前まで仲間だったやつ。
「もういっそ気に入らないヤツら全員殺して。2人で天下取っちゃおうよ」
そう言って笑ってたセナはとっても綺麗だった。
血に汚れたおれが触れちゃダメだって思った。
だから、おれはおれらの仲間に入ってくれたリッツもセナも置いて無責任に逃げた。
セナを壊すのが怖かったから。
リッツが涙を流してるのが耐えられなかったから。
でもおれがいない間にKnightsは変わってしまった。
「バックギャモン」のように馴れ合いだけの組織に変わってしまった。
これじゃいつかまた、セナやリッツみたいに傷を負うやつが出てくる。
そんなの……嫌だ。
もう誰も壊れないで。
もう誰も傷つかないで。
もう誰も涙を流さないで。
もう、おれの青春そのものだった「Knights」を自己利益のために利用しないで。
そっと百合の花束だけを供えて、歴史の上で語って「そんなヤツがいたんだ」って。
『裸の王さま』がいたんだってことだけをー。ううん、
『銀色の騎士』と『吸血鬼の騎士』がいたってことだけを覚えていて。
おれは最初から必要とされてなかったんだ。
物語の主人公にはなれない。
なら、せめて最期の青春の1ページくらい、
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おれの好きにさせてください。
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悠哉(プロフ) - 佳乃さん» 嬉しい言葉ありがとうございます!まだまだ未熟者ですが、これからも応援宜しくお願いします! (2018年6月10日 8時) (レス) id: 06e3f3c240 (このIDを非表示/違反報告)
佳乃(プロフ) - 頑張ってください! (2018年6月9日 16時) (レス) id: a3cd6ccc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠哉 | 作成日時:2017年10月29日 8時