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「っ、だから俺は落ち込んで……っ」
ねぇよ!!と来るのはわかっていたので、小さく笑顔を浮かべて、「だよね。」と遮る。
ポンと背中を叩き、小走りでコートから離れながら。振り向きざまに、影山くんに拳を突き出した。
「今のところ、まだシビれてないよ!」
なんていうのは大嘘なのだけど。
影山くんは私の言葉にムッスリと顔を顰めて、それでも、相手コートに目線を移しつつ、私に向かって小さく拳を掲げた。
菅原先輩の横に戻り、再びボールを抱える。
大丈夫。きっと上手くいく。そう信じて、じっとコートに視線を注いだ。
「絶対できる……」
チャンスは、チャンスを掴む努力をした人に訪れる。影山くんは間違いなく、その努力に見合っているから。
キャプテンのサーブが入り、レシーブがあがる。その瞬間……
「──!よしっ!」
息つくまもない、綺麗な速攻が、決まった。
「〜〜っ!!すごい!すごいすごい!!」
声にならない声が出て、嬉しさが抑えきれずに飛び跳ねた。
あんな速い速攻、みたことない。少なくとも、私のバレー人生の中では。
本当に出来てしまった。出来ると信じていたけれど、でも、予想以上の威力で。
「!」
その時、影山くんがふとこっちを見た。
口元には笑みを浮かべて、ギュッと握った拳を私へと掲げる。
どうだ。とでも言うようなその表情に、思わず私は笑ってしまった。
そうだね。これはもう、認めざるを得ない。
「最高にシビれた!」
私たちのバレーは、まだまだこれから進化していくんだとわかった。
同時にあのスパイクを拾えたら、どれだけ楽しいだろうと、そう思った自分も、確かにいた。
身体中がムズムズする。バレーがしたい。ボールに触れたい。今すぐにでも、走り出したい。
そんな思いを全部詰め込んで、私も拳を作り、影山くんに向かって、一直線に伸ばした。
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しおり(プロフ) - 夢主さん» ありがとうございます🥲あともう少しで完結なので楽しく書き進めたいと思います☺️ (2022年10月24日 8時) (レス) id: e0e048fd48 (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - しおりさん» 笑笑ほんとに面白いです!めっちゃ今読みあさってます! (2022年10月23日 22時) (レス) id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夢主さん» はっ……どう、でしょう……? (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
夢主(プロフ) - ちゃんと小学バレーローテしてないって事理解してるあたりバレーしてますよね😎 (2022年10月23日 21時) (レス) @page1 id: e4dd308597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2021年8月24日 22時