作り出された人格(第三話) ページ35
零side
零「………で我輩のところに来たというわけじゃな?」
凛月「そ。なんでよりにもよって兄者の処なんだろうねぇ」
零「…桜南には何を考えているか判らない所があるからのぉ」
凛月「わかってるよ。その位」
桜南は無邪気に我輩の棺桶の周りで遊んでおった。
さっきまでカッターを持っていたなんて思えない程歳相応の柔らかい少女の笑み。
零「…やはり、我輩のせいじゃろうな」
桜南を創り出してしまったことも。
涙のある筈だった現在の道を奪ってしまった事も。
凛月「何で…上手くいかないのかな」
ぽつり、と溢れたのはきっと誰もが思っていた事。
零「凛月………、お主はよくやっておる。凛月の頑張りは父さんも隆二さんも我輩も分かっておる心算じゃ。」
凛月「でも………涙には届いてない」
「………昨日の夜、涙が「涙は汚ない子?」…って………」
零「そうか……………………。まだ囚われているんじゃな……」
凛月「結局、涙を俺は守れてない…」
零「それは我輩もじゃよ。苦しめてばかりで安らかさを何も与えてやれぬ…」
情けない。
妹離れが寂しいと抜かしておったにも関わらず妹の事を微塵も分かってやれない………。歯痒いの。この感覚は。
目を閉じれば意図も簡単に思い浮かぶ幼かった涙。
やっと『笑う事』を取り戻した涙を置去りにしてまで手に入れたのは血と汚れで出来たアイドルとしての栄光……
しかし、今ではその栄光も意味がないものになってしまった。
零「………我輩には何も残らなかったのう」
なぁ。一年前の『俺』。お前が今ある大切なものを超える大切なものって何だ?
まぁ涙は引き込もちゃってるけどさ。
それならそれでい〜じゃん?
結果論だけど、誰も壊れてね〜し。
みんなそこそこハッピーじゃん。
そこそこのハッピーだけじゃ満足できなくて留学したんだけどさ。
そんなに全員をハッピーにしたかったか?
可愛い妹と弟の幸せだけで充分じゃん。
赤の他人まで幸せに出来たのか?ちゃんと面倒くさがらずに?
出来るわけ無いよな。身の丈弁えろっての。
それでも留学をしたのは
零「……………青かったから……………………かのう………」
身が熟れていない内は、間違いを沢山する。
間違え方を覚えて、自分の力量を知る…
それをしなかったのはずっと昔の間違いじゃ。
自分の無力さを知らず、手の中にあった大切な物を簡単に手放した。
……………それが我輩の後悔じゃ。
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悠希(プロフ) - 吹雪さん» 吹雪様嬉しいコメントありがとうございます〜!(´;ω;`)凛月くんカッコイイですよね……!!分かります!これからも更新頑張らせていただくので、この作品をよろしくお願いします (2017年8月19日 9時) (レス) id: 01b9eac922 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - いつも楽しみに更新を待っています。大変だとは思いますが頑張って下さいね。凛月君が大好きなのでこの小説は嬉しいです。 (2017年8月17日 8時) (レス) id: 4c6b2a6bdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠希 | 作成日時:2017年8月3日 22時