Whether, and to hear the voice.

動き出した針と止まったままの針（第二話） ページ19

隆二side

父「いや〜娘の成長がここまでうれしいものだとはねぇ〜」
リビングで凛月に勉強を教えてもらってる涙を優しい目つきで眺めてる義兄さん。

隆「飲み過ぎ。あとそれ言うの５０回目だから」
夜更け。唐突に義兄さんの晩酌に(強制)参加させられたのが１時間前だから結構なハイペースで飲んでることになる。

父「？！お前は嬉しくねぇのかよ〜！可愛い姪っ子の成長だぜ？」
あぁ面倒…。おじさんは絡み酒＆酔いが酷い。なのに俺を誘って飲む。
くそ…。早くこの面倒な仕事を零や凛月に変わってもらわないと……。
三十路の身が持たない。
明日僕は学会があるのに………。

隆「そりゃ、イチ主治医としても一人の伯父としても嬉しいけど、義兄さんみたいにグデングデンに酔う気はないよ」
俺は酔ってねぇ〜！と、うわ言のように叫ぶ義兄さんを適当にあしらってグラスに入ったワインを見つめた。
やっぱり酔っている人ほど「酔っていない」って言う法則とかがあるのかな。

あるとしたら結構面白い発見になる。
今度の学会のネタはそれにしようかな。

隆「…………………」
父「……蘭はどうだ？」
隆「…まだ薬が手放せない状況」
父「そうか………まだ、か」
ははっ、と乾いた笑みを零した義兄さん。


隆「こればっかりは焦ったってどうにもならないんだ。…あまり思い詰めないこと。気長に治療していこう？」

父「そうだな。でも…やっぱりこの場に悠子がいてくれたらって考えて…な。」
苦笑いを浮かべた義兄さんは実年齢より上の年齢を想像させた。

隆「義兄さん…………」

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