…ナマエ… ページ3
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記憶の、ほんの片隅にあった。
この男の顔が。ジブンはこの男を知っている。
「…お前の名は」
ジブンが居た部屋を後にし、廊下を歩いている時に、ふと聞いてみた。
この男を知っている筈なのに、何故か思い出せない。
「トウゴウだ。忘れたか」
この男と関わりがあった筈なのに、何だったのか思い出せない。
「…お前とジブンの関係は」
「私の階級は中尉、お前は…たしか少尉で、よく私と話していたな。
…それも、記憶に無いか」
「…無い」
訊いた代わりに、自己紹介をしようとした。
「ジブンはA。ジブンは……」
「……どうした」
…知らない。分からない。記憶に無い、覚えてない。ラジオの音声に、
ノイズがかかった様に。文字が虫に喰われて読めない、書物の様に。
ジブンの事が……思い出せない。
「ジブンは……覚えてない。分からない」
「…分からない？自身の事を覚えていないのか」
「ああ」
トウゴウなら。ジブンの事を覚えているのなら。知っている筈だ。
「それは………私にも分からんよ。お前にも分からないことが、私に
分かるわけが無かろう」
「ジブンとの関係を知っているのならば、ジブンの事も覚えているのでは」
「あの頃は戦争で忙しかった。人のことをいちいち覚えていられない」
食い下がろうとしたが、これ以上聞き出すのは無理だろう。それに、
トウゴウの言い分も分かる。
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木屑や
ある部屋に入った。扉の小さな木の板には、【２０１】と墨で
書かれていた。
床は綺麗に掃除され、物も整頓されていた。だが、部屋の広さに
対して、几帳面に畳まれた布団は一つしか見当たらなかった。
「…ここは？」
「私が使っていた部屋だ。目が覚めれば私１人しか居なかったのでな。
「…居なかったと言うことは、人間が他にも居たのか」
今思えば、このことは訊くべきではなかったのかもしれない。次の
言葉を発した時、トウゴウの表情が曇った。
「……居た。とても沢山の人間が、ここの寮に入った。そして…
死んでいった。全滅した、というわけではないが、今、この場に
存在しているのは、私とお前の、２人だけだ」
「大日本帝国は、世界に敗北した」
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わいんれっど(プロフ) - オレオレ詐欺さん» ありがとうございます、 嬉しいです！ これからも頑張ります！ (2017年8月30日 18時) (
レス) id: 19107a5dca (このIDを非表示/違反報告)
オレオレ詐欺 - わいんれっどさん» てかこの作品面白かったよ。これからも頑張れ (2017年8月30日 17時) (レス) id: e9f3d72a12 (このIDを非表示/違反報告)
オレオレ詐欺 - わいんれっどさん» イベントにそういうつもりで参加しても伸びないんじゃないか？あれはただの荒らし魔で、詐欺投稿。 んま、作者がそう思ってるならいんだけどさ。 (2017年8月30日 17時) (レス) id: e9f3d72a12 (このIDを非表示/違反報告)
わいんれっど(プロフ) - 応援してくださると嬉しいです！ (2017年8月27日 23時) (レス) id: 6090b3946f (このIDを非表示/違反報告)
わいんれっど(プロフ) - ＬＵＮＡさん» 済みません。わざわざありがとうございました。 (2017年8月27日 22時) (レス) id: 6090b3946f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わいんれっど | 作成日時：2016年8月28日 17時
