二人、廃寮に。

…コエ… ページ4

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　『大日本帝国は、世界に敗北した』

　＿＿＿大日本帝国。聞いたことのある言葉だ。その言葉を聞いた瞬間、
何故だか急に、暗いものが降りてくるような、そんな感じがした。

『……いち…退却…』
『にげ…！だ………団はもう……だ…！』
『……第…師団、壊め……！』

　……！…何だ、これは。声、それも沢山の。怒号？報告？
誰に、何の為？

　頭痛がして、頭を抱える。目の前が歪む。

「おい、どうした」

　トウゴウの声が微(かす)かに聞こえた瞬間、世界が反転した。


* * * *


「…い。…おい、A」

　目を開けると、トウゴウの顔が見えた。
どうやら布団の上に寝かされているらしい。トウゴウに助けられながら体を
起こす。もう頭痛はなかった。

「…大丈夫なのか」
「問題は無い。ただ…声がした」
「声？幻聴でもしたか」

　幻聴？そんな単純なものなのか。聞いたことのある声ばかりだった。
トウゴウの顔を覚えていたように、その声をジブンは覚えている。

　だが、やはり何だったのか分からない。聞いたことがある。

　あの声は。

「……もしかすると、記憶の奥底にあった声を思い出したのかもしれんな」
「……記憶の、奥底…」

　ジブンは……一体何なのだろうか。何故(なにゆえ)ここに存在しているのだろうか。

…ホウソウ…　　【トウゴウ目線】→←…ナマエ…

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